Yuckyのうまうま大邱! ② 大邱の麻薬パン
大邱のうまうま、今回は大邱で爆発的な人気のパンをご紹介したいと思います。
韓国には三大ベーカリーと呼ばれるパン屋さんがあります。群山の「李盛堂」、大田の「聖心堂」、そして3番手といわれているのが、安東の「マンモスベーカリー」と大邱の「サムソンパン屋」です。
サムソンパン屋の創業は1957年。老夫婦2人が営む大邱で一番古いパン屋さんでした。現在は繁華街東城路にありながら、ごくごく普通の小さなお店で、本当にここが一日に3千個のパンを売っているお店なの? と疑いたくなるほどです。
大ヒット商品はトウモロコシパン(1500ウォン)。一度食べたら病みつきになることから、別名「麻薬パン」とも呼ばれています。柔らかいパンにメロンパンのようなクッキー生地がトッピングされ、中にトウモロコシとコーンクリームがギッチリと詰まっています。熱々の焼きたてを食べると中からコーンがトロ~リ! 一日に4.5㎏入りのトウモロコシ缶を80缶も使うというのですから、トウモロコシがどれほどたくさん入っているか、想像できると思います。一口かじるとパンとトウモロコシの自然な甘さが混じり合い、妙に惹きつけられるというか…。辛いお料理が多い大邱で、やさしい甘さがうけたのかもしれません。
麻薬パンの大ヒットに至るまでには、大きな苦労があったようです。長年の地下鉄工事や地下鉄中央路駅の大規模火災で商店街の景気が低迷、おまけに2000年以降は、ソウルからパリバケやトレジュールなどの大型チェーン店が大邱にも押し寄せ、店をたたんだパン屋さんは少なくなかったといいます。そんな中、生き残りをかけて、フィリングやトッピングに試行錯誤を繰り返し、麻薬パンは誕生しました。発売後、徐々にインターネットの口コミで広がり、テレビで紹介されてからは行列の絶えないお店に成長していきました。
その人気ぶりをうかがえる面白いエピソードがあります。あまりにも「麻薬パン、麻薬パン」ともてはやされるので、実際に麻薬成分が入ってないかを調べるために警察が現地調査に入ったと。嘘のような本当の話!もちろん、そんなものが入っているはずもなく…。でも、このパンの中毒患者がたくさんいたのは事実です。
現在では息子さんが両親の味を引き継ぎ、めざましい店舗展開をしています。昨年は東大邱駅に2号店をオープンしました。パンを個別包装をするなど高級なイメージをはかり、鉄道客に喜ばれているようです。また、ソウルをはじめ16都市に50店舗以上を展開、今後はアメリカや中国など海外にも進出する計画があり、大邱の小さなパン屋さんはいまや世界へ羽ばたこうとしています。
先月、久しぶりに麻薬パンが食べたくなり、東城路の本店に立ち寄りました。店舗が増えたことにより、並ぶこともなくスムーズにパンが買えるようになっています。ビニール袋にパンを入れてレジへ持っていくシステムは以前のまま。急激な発展をとげたサムソンパン屋ですが、本店だけは昔のまま、「街のパン屋さん」でいて欲しいなぁと思いつつ、麻薬パンをかじりました。
*サムソンパン屋東城路本店
大邱広域市中区東城路3街7-6
*サムソンパン屋東大邱駅店
大邱広域市東区東大邱路550
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