芸術と感性、自然、瞑想で癒される特別なミュージアム、ミュージアムSAN
ミュージアムSAN(Museum SAN)は、江原道・原州(ウォンジュ)に位置する美術館だ。インスタグラム、フェイスブックなどのソーシャルネットワーク(SNS)内でよく登場する原州の名所だ。最初は山の中にあり、名前がミュージアムSANということくらいしか知らなかった。しかし、知ってみるとSpace、Art、Natureのキーワードを集めて作ったミュージアムSANという名の通り、自然と芸術が調和した空間を意味すると同時に、海抜275mの麓に位置していることを象徴的に示す名前だった。原州市外バスターミナルから20㎞ほど離れた山の中にあるので、向いながらも本当にこんな場所に特別なものがあるのかという疑問が頭に浮かぶ。しかし、ミュージアムSANの入口に着くとその疑いは、瞬間感嘆へと変わる。
文/池淑記者
ミュージアムSANは山の中に博物館や美術館が共存するミュージアムを設立するというハンソル文化財団の公益文化事業プロジェクトで、2013年5月にオープンした。露出したコンクリートと光で代表される建築家、安藤忠雄が周囲の景観をそのまま生かし遊歩道のような動線で設計したもので、全体の長さ700mの動線沿いに歩けば、2・4㎞のウェルカムセンター、フラワーガーデン、ウォーターガーデン、本館、ストーンガーデンの順で構成されている。花、水、石と呼ばれる異なる性格を持つ庭からは、季節ごとに違った姿を感じることができる。
ミュージアムSANを設計した安藤忠雄は、2005年に依頼されて初めてここを訪問した当時、「都市の喧噪から離れた美しい山自然に囲まれた快適さ」を感じたという。これを基に再び日常で「生きていく力」を取り戻すことができる場所をモチーフにミュージアムSANを設計した。そうして彼は、山の建物全体が美術館という、それ自体で一つの作品を誕生させた。
ミュージアムSANのコンセプトは、Disconnect to Connect、すなわち「真の疎通のための断絶の空間」だという。刺激が多い日常からしばらく距離を置いて、時間を過ごすことができる空間を目指す。その中で出会う作品と展示会、プログラムなどは、自然ミュージアムSANのメインとなる価値を示している。
大切な私と、私の周辺を振り返るきっかけは小さな余裕から始まるといえるが、ミュージアムSANを通じてこんな余裕を感じることができる。スローライフスタイルを志向するミュージアムSANで楽しまなければ後悔するテーマの3つを紹介する。
真の癒しのためのスペース瞑想館
「瞑想館」は、2018年ミュージアムSAN開館5周年を記念して建築家安藤忠雄が設計した空間である。瞑想館は本館とジェームズタレル館の間にあるストーンガーデンに位置しており、40坪のドーム空間はストーンガーデンと調和をなすように設計された。内部に入ると、天井の中央を分けるアーチ型の天窓を通して時々刻々と変化する光と風景を楽しむことができ、瞑想のオーディオガイドを通じて瞑想プログラムが体験できる。
瞑想館は午前10時45分から午後5時15分までの30分間隔で、現場予約を通じて入場者を受けいれており、オーディオガイドで行われる常設プログラムのほか、人文、芸術、身体活動などを伴った特別プログラムも行われる。
現在瞑想館で行われている常設プログラムは、5つだ。森の音を使用して平穏さを体験する△自然の音の瞑想、自分ならではの声を出してみる参加型瞑想人△ボイスヒーリング瞑想、軽い動作により呼吸法を体得する△余裕瞑想、横になって体をリラックスさせ心身の快適さを見つける△休みならがの瞑想、そして静かな空間の中でシンギングボウルの演奏を聞きながら、黙想する自律瞑想プログラム△シンギングボウルの沈黙の瞑想と、それぞれ準備されているので芸術的な空間の中で、真の癒しの時間を探したい人なら後悔のない経験が楽しめる。
五感満喫、光と空間の芸術ジェームズタレル館
ミュージアムSANの特別展示館である「ジェームズタレル館」は本館とは別に、光と空間の芸術家として知られているジェームズタレル(James Turrell、b.1943〜)の作品があり、場所的には、ストーンガーデンの端に位置している。ミュージアムSANに行けば「ジェームズ・タレル館」は必ず見なければならないと皆が口をそろえて話すことほど、光と空間を利用して作られた超現実的な世界は感動を与えてくれる。ジェームズ・タレル館は午前10時30分から30分間隔で、現場での予約を通して入場者を受けている。
注目作品は、ジェームズタレルの2012年度作品であるホライゾンルーム(Horizon Room)。光の祭壇を形象化したホライゾンルームは目に見えない階段を超え、理想世界を描いた作品で、切実な瞬間に天使と出会うような感性が感じられるので注意深く見たい。
ジェームズ・タレル館を楽しみたいなら夕暮れの時間帯に設けられるカラフルナイト(Colorful Night)プログラムを是非お勧めしたい。カラフルナイトプログラムは、通常の観覧が終了した後、ジェームズ・タレル館で行われる夜のプログラムで、季節ごとに刻々と多彩に変化する空の色を鑑賞しながら瞑想を楽しむことができるもので、今まで経験できなかったジェームズ・タレル館の感性を満喫できる。
版画作品を見て作る異色空間版画工房
ミュージアムSAN版画工房(Printstudio)は、紙の博物館や美術館が共存する特徴を象徴的に示す空間だ。木版、石版、銅版画など、さまざまな版画コレクションと展示場内で出会え、版画工房教育プログラムで直接製作過程に参加し、幅広い鑑賞と体験を経験できる場所だ。また、国内で活動している若手版画作家を発掘し、創作活動の支援・育成を通じ、国内版画芸術を活性化することを目的とした「若手版画家創作支援プロジェクト」を進めている。現在は、2019年選定作家の版画ワークショップと展示が行われており、貴重な見どころとなっている。
体験プログラムも楽しい。版画技法をテーマとする常時体験プログラムもたっぷりある。自由描画や様々な彩色で世界に一つだけのマグカップを作る「ドローイングマグカップ作り」体験を筆頭に、シルクスクリーンの技法でアイテムを作る「版画で作るファブリックアイテム」体験などが人気だ。
特に、「版画で作るファブリックアイテム」は、シルクスクリーン版画技法を単純なプロセスで体験することができる授業で、お気に入りの絵柄やインクの色などを直接選択して、印刷などを体験することでシルクスクリーン版画の原理を理解することができるので一番人気だ。
エコバッグの上にミュージアムSANの様々なイラストの絵柄をシルクスクリーン版画操作を通して印刷し、専用のカラーペンで色を塗ると、個性的な自分だけのエコバッグが完成する。体験料金は2万ウォン台。
ミュージアムSANを訪れたなら、カフェテラスも必須コースだ。江原道の山を屏風に見立て、まるで水の上に浮かんでいるようなユニークな構造からなるカフェテラスで極上のコーヒー一杯を楽しむことができるので、韓国で癒しという旅行テーマを探すなら、これからの季節に必ず足を運んでみる価値がある。
<Information>
観覧時間は午前10時から午後6時まで(チケット販売締め切り午後5時)、毎週月曜日休館。観覧料は美術館のみ楽しむミュージアム券が18,000ウォン、ジェームズ・タレル館観覧をセットにしたジェームズ・タレル券は28,000ウォン。ミュージアムとジェームズ・タレル館、瞑想館体験まですべてセットした統合券は38,000ウォンで最も経済的なのでお勧めだ。| www.museumsan.org
▲ウォーターガーデン
▲瞑想館
▲ジェームズ・タレル内の作品であるホライゾンルーム(James TurrellⓒGanzfeld-Aamdo、2013. Photo by Florian Holzherr
▲版画で作るファブリックアイテム体験
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