新しい韓国の情報発信所が誕生!「K-Style Hub」
韓国観光公社が原州に移転してからしばらく改装工事を行っていた建物が、韓国の観光情報や文化を発信するスペースとしてリニューアルオープンした。移転前にも地下にパンフレットの配布などの案内は行っていたが、リニューアル後は2階から5階までをフルで活用し、さらに多様で深い情報を発信するようになった。新しくなった「K‐スタイルハブ」を紹介しよう。
文/町野山宏記者
ソウル市鍾路区、地下鉄1号線の鍾閣駅から歩いて5分ほどの、清渓川に面したところにK‐スタイルハブがある。仁寺洞や明洞、ソウル市庁などからも近く、アクセスの便利なところにあるため、旅の始まりや途中に寄っても便利だ。
Kスタイルハブのビルに入って左側のエレベーターで2階に上がれば、そこがK-スタイルハブだ。各階ごとに違ったテーマとなっており、2階は観光案内センター、3階は韓食展示館、4階は韓食体験館、5階はアートマーケット館となっている。
まず2階から回ってみよう。さまざまな情報を提供している韓国案内センターで、インフォメーションセンターではさまざまな観光情報についてスタッフに聞くことができ、全国の観光パンフレットを無料で手に入れることができる。もちろん外国語に堪能なスタッフが常駐し、日本語をはじめ英語、中国語も可能だ。旅行社のカウンターも別途にあり、バスや航空券、旅行商品についてだけでなく、各種公演などの予約・問合せもできる。また、情報検索用のパソコンも用意されている。
2階はインフォメーションデスクとしての役割だけでなく、多様な体験もできる。まずは韓流体験。「K‐スターゾーン」と名づけられたVR(バーチャルリアリティー)体験ゾーンでは、韓流スターと一緒に記念撮影ができる。ブースの中に入って画面を操作すると画面に映った自分の横に韓流スターが現れてポーズをとる。そのポーズに合せて自分もポーズをとると、自動的にシャッターがおりて、記念撮影ができる。画面に現れたスターとの記念写真を自分のカメラで映せば、自然な記念撮影ができあがる、というわけ。シチュエーションも4通りが楽しめる。
最近流行の3DVR体験もできる。韓国のさまざまな観光地へ仮想の旅行に出かけられるのだ。ブースの中に立ってヘッドマウントディスプレイを装着すると、自分の選んだその場所になる。メニューはいくつもあるが、やはりおすすめは、2018年の冬季オリンピックを準備している平昌。アルペンシアリゾートにあるスキージャンプ台からのジャンプが体験できる。実際に選手がカメラを装着してジャンプした映像が使われているため、スリルまで本物だ。
韓国の医療観光に関する情報を得られる医療観光センターもある。医療観光の専門スタッフに相談することができるだけでなく、実際に簡単な体験をすることもできる。血圧の診断から皮膚の診断、体脂肪率のチェックなどができる専門機器があり、スタッフの助けを得ながら簡単な健康診断をしてみよう。ここでは韓方薬についても知ることができる。モニターに出てくる幾つかの質問に答えると、自分の体質に合った薬草を紹介してくれる。自分に合った薬草の香り袋を作ったり、薬草を使ったお茶を飲むなどのサービスもある。
情報収集の目的だけでなく、カフェのスペースもあり、休憩用のソファも備えられているため、旅の途中に一息入れる場所としても活用できるだろう。
「韓食」の深い意味を学んで体験して
3階にエスカレータで上がると、韓国観光広報大使のソン・ジュンギの等身大のボードが迎える韓食展示館が待っている。韓食展示館では、韓国の食に関する文化について、体系的に詳しく学ぶことができる。入口の長い通路は、右側に二十四節季、左側にその季節に合った行事と料理を紹介している。二十四節季とは太陽の動きを元に1年を24の節季に分けたもので、農耕社会であった韓国にとって非常に重要なものだった。日本にも二十四節季は使われているが、韓国はより生活の中に溶け込んでいる。そしてその節季に合った料理を食べることでより健康になるという文化を説明したものだ。
長い通路を抜けると、韓食の穀物と調味料に関する展示がある。甕の中でつくられる韓国の調味料の味や匂いを体験しながら学ぶことができる。きれいな展示空間で味噌や醤油などの匂いをかぐと、新しい発見があるから不思議だ。その隣の部屋では、韓食の材料についての展示がある。韓薬の店にあるような棚をモチーフに、引き出しに韓食の材料が展示され、ビジュアル的にも美しい展示となっている。材料だけでなく、料理の相性を色で合わせるインタラクティブな展示やスライスされた野菜の展示など、まるで美術館を観覧しているような感覚で韓食について学ぶことができる。
また、さまざまな醤を入れた甕が並ぶ韓国の庭を再現したインスタレーションもある。塀の向こうに広がる四季折々の自然の姿に合せて甕の上に韓国の料理の映像や文様などが映し出される。これは2015年にイタリアのミラノで開催されたエキスポで好評を得た作品だという。
韓国の食について勉強ばかりしていては物足りない。実際に作って味わってみたいという人たちのための空間が、4階の韓食体験館だ。カフェのような空間となっているが、一方では韓国の伝統茶と伝統餅を販売しており、もう一方では酒類とおつまみを販売している。
その奥は実際に作ることができるスペースとなっている。韓食の先生から学びながら実際に作ってみるプログラムが準備されており、プルコギやキムチなどの料理が午前10時半に、伝統餅やお茶菓子づくりなどの体験は午後2時と4時に行われている。体験したい場合は、3日前までに予約が必要。(02-6053-7177~9/hansikculture@hansik.org)つくった料理はそのとなりのテーブルで食べることができるようになっているが、このスペースには韓食に関する書籍と、韓国料理のレシピがあり、レシピは自由に持ち帰ることができるため、家で料理にチャレンジしてみるのもよいだろう。
工芸品や食料品を購入できるスペースも
5階はアートマーケット館。工芸品やデザイン商品、食品などを展示販売しているコーナーだ。伝統を活かしながら現代的なセンスを取り入れた選りすぐりの工芸品をはじめ、韓国ならではの優秀なデザイン商品、ベンチャー企業の新しい可能性を見せる商品などを販売している。また、韓国の食材や料理などの中で賞を受けた商品を販売している。中央には韓服をオブジェのように展示しているスペースもあり、商品を買わずに見ているだけでも楽しめる空間となっている。
各階の展示などについて紹介したが、もう一つ憶えておくべきなのが、韓服の貸し出しスペースだ。5階のエスカレーターの脇には色とりどりの韓服が並んでおり、予約なしで無料で試着体験ができる。その場で記念撮影するのはもちろん、館内を自由に歩き回って韓国情緒に浸ることもできる。記者の取材中にも若いカップルが韓服を着て歩いており、外国人たちの注目を浴びていた。さらに身分証明書を預けると野外に出かけることもでき、仁寺洞や景福宮などを闊歩する体験も可能だ。(レンタル時間は1時間)
どの階も韓国の文化を外国人観光客に正しく伝えようと知恵を絞ったものであるため、見ごたえがある展示となっている。ぜひ憶えておいて韓国旅行に活用してみよう。
Information
地下鉄1号線鍾閣駅5番出口を出て直進。清渓川を渡ってすぐの道を右折。2番目の建物の2階へエレベーターか階段を利用。鍾閣駅から徒歩約3分。乙支路入口駅(徒歩5分)や光化門駅(徒歩6分)からのアクセスも便利だ。運営時間は各階ごとに違うため、注意が必要。2階は午前9時から午後8時まで(年中無休)、3階は午前10時か午後8時まで(年中無休)、4~5階は午前10時から午後8時まで(火曜休館)となっている。入場は無料。
http://korean.visitkorea.or.kr/kor/bz15/kstylehub/overview.jsp
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