B-BOYに恋したバレリーナ

2011年04月06日

<公演レビュ> B-BOYに恋したバレリーナ

バレリーナ、路上のダンサーを愛す

메인(가로)

 

「24時間が過ぎたのに胸の震えが止まらない」公式サイトにある、一人の観覧客の観覧レビューが公演「B-BOYに恋したバレリーナ」の印象深い余韻をそのまま表現する。

「B-BOYに恋したバレリーナ」は2005年、ソウルのあるビルの地下で静かに始まった。広告を一切行わず観客の口コミだけで連日売り切れとなり、やがてニューヨークのブロードウェイや英国エジンバラ フェスティバルにも出場、世界の人々の目と耳を魅了した。現在もソウルの蚕室(チャムシル)ロッテワールドの芸術劇場を専用公演会場として6年目の公演を続けており、韓国文化公演界で変わらぬ人気を誇る作品だ。

「B-BOYに恋したバレリーナ」は公演前に「公演中にも携帯電話の電源を消さずに自由に通話されてもかまいません。公演中に写真や動画撮影も思う存分行ってください」というアナウンスが行われるなど、観客たちに何の制限や規則もかけない。これはストリート ダンスであるB-BOYがそうであるように、公演「B-BOYに恋したバレリーナ」もやはり、B-BOYたちの「拘束と枠組みからの解放」を語るよう、自由奔放を宣言するためだ。

評壇はもちろん、観客たちも「B-BOYに恋したバレリーナ」の奇抜な素材と発想に注目し賛辞を送った。今まで芸術舞台を独占してきた上位であるバレーと、路上で転げまわりながら踊る下位の踊り、ブレイクダンスとが結ばれ、お互いの価値を最高に昇華させ、共通点がなさそうなバレーとブレイクダンスというジャンルの二人の主人公が、恋愛までその中が分けられてしまうというストーリーは、観客たちからの好奇心を集めるのに十分だ。

公演はB-BOYたちの派手なブレイクダンスから始まる。体が回転してダンサーの足は舞台から離れ空を飛び、手と肩は息つく間もなく動き、アクロバットに近い曲芸の踊りを楽しませる。派手な踊りの魅力に加え、舞台の上では汚れがないB-BOYたちの純粋さと胸のときめきもその踊りを通じてそのまま観客に伝えられる。観客は彼らの自由な踊りにその世界に引き込まれ、無意識に感嘆の声をあげてしまう。老若男女、職位を問わず、誰もが一つとなって胸の深いところで喜びのため湧き上がるエネルギーを感じる瞬間だ。

夕立のように激しく終わってしまった1幕のB-BOYシーンが終われば、1幕とはまったく違う荘重なクラシック音楽が流れる。ブレイクダンスの興奮がまだ冷めやまないままに、優雅なバレリーナの踊りが舞台の上で繰り広げられ、水が流れるように舞台を滑るバレリーナの動作に観客らの目が集中する。

しかし、余裕のあるバレー鑑賞も少しの間だけ。平和なバレリーナ練習室のそばにヒップホップ広場ができ、静かなバレリーナ練習室は激しいヒップホップの音楽に占領される。

女主人公のバレリーナ・ソヨンは、このヒップホップ広場に不満を持つ。低俗な街のダンサーたちに格調高いバレリーナの空間を騒音で侵害されたことが、バレーに対する挑戦までたたきつけられたようだからだ。やがてソヨンとバレリーナらはヒップホップ広場で勝負をつける覚悟で広場を訪れ、クラシックと大衆文化との間で、タイトルをかけた二つのグループの葛藤と衝突が続く。

バレリーナとB-BOYたちの衝突はミュージカルが持つ個性そのままに彼らの踊りなって表現される。 ポッピン、少女ヒップホップ、ラッキン、ヒップホップ、ブレイクダンス、バレーなど勝負を付けられない踊りの対決が続き、舞台の上では葛藤と戦いが繰り広げられるのに、観客たちはその二つの勝負に関係なく派手なダンスバトルに興奮してしまう。

対等なこの二つグループの間に、男主人公B-BOYであるソギュンが登場して新しい展開を迎える。 B-BOYのソギュンとバレリーナのソヨンは徐々にお互いに好感を持つようになる。 バレリーナのソヨンは、カリスマあふれるソギュンの踊りの腕前に惹かれ、ソギュンもお高く行動するものの、プリマドンナになるために一日一日を一生懸命努力するソヨンの姿に心を開いて行く。

2人だけの愛が芽生える過程を、ソギュンがソヨンにブレイクダンスを教える場面として表現する。細いバレリーナの手首をつかんでエスコートするソギュンと、彼の手に従い動くバレリーナのソヨン、そしてお互いの心を確認したように見つめあう二人は、音楽と共に甘酸っぱい愛の感情を演出して観客の感情をしっかりと掴む。

愛のために、ソヨンはバレーを捨てなければならない。ソギュンと共にいたいものの、ソギュンの同僚B-BOYたちは自分たちを軽べつしたバレリーナ・ソヨンを認めない。結局プリマドンナとなるために自身の夢を追うべきが、それとも愛のためにバレーを捨てて自身が軽べつしたB-BOYになるかの二つの中から答を出さなければいけない。

「B-BOYに恋したバレリーナ」のストーリーは違った目線から見れば、かなり単純で漫画的だ。 だが、この分かりきったストーリーに、観客らは感情を移入させてしまう。B-BOYとバレーとの対立はロミオとジュリエットの二つの一族を連想させ、二人の主人公はロミオとジュリエットとなり、成し遂げることはできない愛の対象になるため、世界中の人たちが愛した古典文学で見られたストーリーに魅了されない観客はほとんどいない。

韓国最高を自慢するB-BOYたちの派手なダンス パフォーマンスも同じだ。 目を刺激するきらびやかなダンスと派手な照明、そして体を自然と揺れさせるヒップホップ音楽はすてきなコンサートを楽しんだように動的な軽快さまでプレゼントする。

それに加えて「B-BOYに恋したバレリーナ」は台詞がない。 主人公の感情とメッセージは全部踊りを通じて伝えられ、観客も彼らの踊りを通じて彼らがしたい台詞を観客たち自身の感情として結びつける。形があり強要される感情ではなく、観客自らが感情を投入して理解しながら台詞を作っていくので、韓国人でも米国人でも日本人でも「B-BOYに恋したバレリーナ」の派手なパフォーマンスと切ないラブストーリーが楽しめてしまうといえる。

 

「B-BOYに恋したバレリーナ」とは

2005年9月に韓国で初演された純粋創作ミュージカルだ。 バレーとB-BOYという相反するジャンルのダンスを組み合わせ、新鮮で創意的な企画により米国、ニューヨークのブロードウェイでの成功的な長期公演に加え、英国エジンバラ フェスティバルの2050参加作品中の中で最高作品として選ばれるなど、韓国内ではもちろん、世界的にもその演出力と作品性が認められている。2009年からはソウル、蚕室のロッテワールド芸術劇場を専用映画館として公演しており、台詞なしで進行されるノンバーバル パフォーマンスとして、韓国を代表する文化公演となっている。 →www.showbboy.com

 

서브01-발레리나

 

▲韓国内最高水準B-BOYたちの派手なパフォーマンス 劇の序盤から観客たちの視線を圧倒する

서브03-발레리나

▲     愛を選択したバレリーナ・ソヨンのブレイクダンスが繰り広げられるエンディング

バレリーナが表現するB-BOYパフォーマンスも見どころだ。

Pocket

関連する記事はこちら

RE; CODE

明洞聖堂に新しくカルチャースペースが誕生

 昨年9月、明洞聖堂が3年の工事の末に新しく生まれ変わった。2029年まで明洞聖堂一帯を観光特区として育成していくためのリモデリングの第1段階が完了した形だ。今回のリモデリングで、ゴシック様式の聖堂の前には庭園が設けられ、その地下には「明洞聖堂1898広場」と名づけられたカルチャ…続きを読む

100

元韓国語学留学生が ソウルを歩く

中川さんの久しぶりソウル 1日密着レポート 日本に空前のブームを巻き起こした韓流。韓流ドラマやK-POPの影響で韓国語を習い始めた日本人はたくさんいるようです。中川さんが韓国に留学に来たのは2005年の4月。当時は韓流の波がうねりだそうとする少し前でしたが、それでもいち早く韓国の…続きを読む

ソウル城郭ツアー1

漢陽を守った4つの山を歩く「漢陽城郭ツアー」

漢陽を守った4つの山を歩く 「漢陽城郭ツアー」    朝鮮王朝の首都だった漢陽(ハニャン)は四大門と、その周辺を囲む4つの山に積み上げられた城郭により守られていた。今でも夜になると漢陽と呼ばれたソウルの中心部の城郭がライトアップされ、美しい夜景を見ることができるが、ただ遠くから見…続きを読む

夜オバケマーケット01

暑いソウルの夜も有意義に! 「ソウル・夜オバケナイトマーケット」

 日中の気温が30度を超え、夜も寝苦しいソウルの夏。蒸し暑い夜を少しでも涼しく過ごそうと、ソウルの人たちはトッチャリ(ビニールシート)や食べ物を持って、漢江(ハンガン)へと出かけます。静かなを夕涼みを想像して出かけてみると、そこはお祭り騒ぎ! 毎週金・土曜日の夜、「パムトッケビ(…続きを読む

메인A

韓国観光公社ウェルネス観光25選特集 -下-

今までにないワンランク上の韓国旅行 「食べて遊んで楽しみながら 美しくなるしあわせを満喫 韓国ウェルネス観光」 韓国観光公社ウェルネス観光25選特集 -下- 健康的な生活を追求する人のためのとっておきの旅行である「ウェルネスツアー」が旅の世界的なトレンドとなっている。疲れた心身を…続きを読む

국립중앙박물관

国立中央博物館、「新安龍泉靑磁展」を開催

国立中央博物館、「新安龍泉靑磁展」を開催 -アジア館にて6月19日まで 国立中央博物館内にあるアジア館の新安海底文化財室にて6月19日(日)まで、新安沖の海底から発掘された龍泉靑磁をテーマにしたテーマ展が開催される。 龍泉靑磁とは、中国の呉・北宋の時代から清王朝まで浙江省南部の龍…続きを読む

서브01-체험요리

<撮れ立てレポート>韓国伝統料理研究所の外国人料理体験

食べるだけじゃ物足りない!作って味わう韓国料理   グルメ大国、韓国。韓国には今やおいしい料理を食べるという目的で来る日本人の観光客もいるくらいだ。実際に韓国に行ってみると、私たちが知らない料理がまだまだあり、新しい味に触れるたびにそのおいしさに感動してしまう。そんな韓…続きを読む

인천2

仁川の近代文化との出合い 開港場通り

近代文化との出合い 開港場通り 近代化が始まった所、西海岸第1の貿易港。仁川の開港場ヌリ道を訪ねてみよう。 まず仁川駅から出発してみよう。仁川駅は駅そのものが歴史的な場所だ。 韓国の鉄道は1899年9月18日に開通したが、最初に開通式を行った所が仁川駅だ。現在の駅舎は1925年に…続きを読む

東海岸圏経済自由区域01
東海岸圏経済自由区域02