2015聞慶伝統茶碗祭り

2015年04月07日

聞慶セジェ

自然と歴史の宝庫・聞慶で伝統茶碗を愛でる

2015聞慶伝統茶碗祭り

 

 朝鮮時代、韓国東南部の嶺南地域と漢陽(現在のソウル)を結ぶ交通の要所であった聞慶は、茶碗の故郷としても知られている。そんな聞慶の名所である聞慶セジェで、「2015聞慶伝統茶碗祭り」が5月1日から10日までの10日間行われる。自分の足で回すろくろで形を作り、伝統窯「マンデンイ窯」で焼いた聞慶の茶碗を見て、体験できる祭りだ。

文/町野山宏記者

 

「アリラン、アリラン、アラリヨ、アリラン峠を越えていく」。韓国を代表する民謡「アリラン」の一節だ。韓国人の「恨」の心を表したこの民謡に出てくる「アリラン峠」というのはどこの峠だろうか。数説あるが、今のところ、聞慶セジェであるという説が有力だ。

聞慶セジェの「セジェ」という名は「鳥も越えるのが難しい峠」という意味を含んだ韓国固有語が起源だといわれている。慶尚道からソウルへと向かう道を阻む小白(ソベク)山脈の鳥嶺山(チョリョンサン)にある峠だ。この峠はソウルに科挙の試験を受けに行く人が越える峠としてもよく知られている。

この道は朝鮮王朝3代王である太宗の時につくられたが、壬辰倭乱(文禄慶長の役)の時に日本軍がこの道を利用して攻め上ったため、その後には敵の侵入を防ぐための城壁が築かれ、それと共に鳥谷関(1594年)と主屹関(1708年)、鳥嶺関(1708年)という三つの門が設けられた。第2、第3の門である鳥谷関と鳥嶺関は後に崩れてしまったが、1976年に復元されて当時の威容を今に伝えている。

聞慶セジェは、現在は道立公園となって韓国国内でも最も人気のある観光地の一つだ。第1の門である主屹関から第3の門の鳥嶺関までの6.5キロの道は、美しい自然や文化財に囲まれ、散策を楽しむにはもってこいの場所だ。また、公園の中にドラマオープンセット場があり、高麗時代の宮殿と民家などが6万㎡の敷地内に再現されている。

聞慶でもう一つ有名なのが、韓国語で「チャッサバル」と呼ばれる茶碗だ。石灰岩地帯で良質な土が豊富であることと、薪として燃やす木が豊富だったこと、交通の要地だったことによって、陶器が有名な地方となった。現在でも40の窯元が伝統窯を用いて陶器を焼いている。

このような韓国の茶碗の故郷で行われる祝祭が、「聞慶伝統茶碗祭り」。この祭りはドラマオープンセット場や陶磁器展示館など聞慶セジェ一帯で行われる。17回目を迎える今年のテーマは「マンデンイ窯に火をくべる沙器匠の一日」。伝統窯で陶器を焼き続ける匠の技を目にし、伝統茶碗で茶を楽しむという贅沢な体験もできるのがこの祭りの特徴だ。

祭りのメインとなるのは、企画展示だ。全国茶碗公募展の受賞作の展示をはじめ、陶芸名匠特別展、茶碗国際交流展など、多彩な展示が行われ、韓国だけでなく、世界から集まった茶碗の名作を鑑賞する絶好の機会となる。作品を見るだけではなく、名匠たちの作品を平常よりも割引した価格で購入することもできる。

日本では「高麗茶碗」と呼ばれる朝鮮時代の茶碗は、室町時代から茶人たちに愛されてきた。特に「井戸茶碗」などはその大胆で素朴な姿が高く評価され、日本で国宝となっているものもあるほどだ。そのような高麗茶碗の伝統を受け継ぐ陶芸家たちの作品が充分に堪能できるわけだ。時代劇のセットとしてつくられた昔の家屋に各窯元が作品を展示し、雰囲気はもちろんのこと、すばらしい作品に出会えることは間違いない。

特に聞慶で有名なのは「マンデンイ沙器窯」と呼ばれる伝統窯だ。聞慶のマンデンイ窯は韓国の伝統沙器窯でも最古のものとされている。「マンデンイ」とは土の塊を意味する韓国固有語。粘土で20~25センチの長さの塊をつくり、このマンデンイを積んで半球型の窯を3~8個並べて連結したのがマンデンイ窯だ。マンデンイ窯は断熱効果に優れているだけではなく、火がよく回ることによって、聞慶陶磁器ならではの独特な色や文様が出るのが特徴だ。祭りではマンデンイ窯の中に入って説明を聞く機会も設けられ、マンデンイ窯に火を入れて茶碗を焼く試演も行われる。

 

茶碗をつくり、茶を楽しみ、楽しい体験が満載

陶磁器を見るだけではなく、さまざまな楽しいイベントも行われる。足で回す伝老ろくろで陶器をつくる技を競う「聞慶伝統ろくろ競技大会」や、観光客も参加できる茶碗のオークション、国際陶磁器ワークショップ、陶芸家たちのストーリーを描いた「沙器匠ミュージカル」など、見所が満載だ。

陶芸の故郷に行ったらぜひ陶芸も体験したい。普段なかなか触れる機会のないろくろを自分で回して陶器をつくる体験もできる。ろくろを回す姿を横で見ているだけでは簡単そうに見えるかもしれないが、少し触っただけで形が変わってしまい、やってみると意外と難しい。台の上に土を載せて中心を定める作業だけでも1ヵ月程度の練習がいるといわれるが、ここでは先生が手伝ってくれるので、思い通りの形ができるだろう。普段何気なく見ている器だが、自分が作った器には愛着がわくはず。ある程度乾燥させたらつくった作品を持ち帰ることもできる。参加費は4千ウォン。

ろくろ体験より気軽にできる体験を望む人なら、陶器の絵付け体験がおすすめ。素焼きをした茶碗に筆で顔料を使って好きな絵を書き、世界でたった一つのオリジナル茶碗がつくれる。絵付けをした茶碗は、マンデンイ窯でもう一度焼いてから着払いで送ってくれる。参加費は1万ウォン。(発送は韓国国内だけなので、保管してもらえる人が韓国内に必要)

聞慶の伝統茶碗でお茶をいただく茶礼(タレ)もぜひ体験したい。韓国には日本と違う茶道の文化があり、韓国の作法に従ってお茶を楽しめる機会だ。茶碗の故郷で伝統の韓服に身を包んだ先生に入れてもらうお茶は格別な体験となるだろう。

聞慶セジェ茶碗祭り

その他にも茶碗積み大会、茶碗フェイスペインティング、陶磁器に書く願い事、ろくろ早回し大会など、楽しいイベントが目白押しだ。陶器をつくる土を使った粘土遊びや、泥の中での宝探しなどは子供たちに人気だ。もちろん、大人も参加できる。その他にも市民歌謡祭、朝鮮時代服装体験、写真コンテストなどが祭りの雰囲気を盛り上げる。また会場では、陶磁器はもちろん、地域の特産品を販売するコーナーもあり、珍しい品に出会えるかもしれない。朝鮮時代の姿を再現した「酒幕(飲み屋)」通りでは、香ばしいパジョン(ネギのお好み焼き)とマッコリに舌鼓を打つのもいいだろう。

新緑のさわやかな季節、自然と歴史、伝統を充分に満喫できる聞慶にぜひ訪ねてみよう。

 

Information

2015聞慶伝統茶碗祭りは5月10日から5月10日まで、聞慶セジェ道立公園内の聞慶ドラマオープンセット場一帯で開催される。祭り会場までは聞慶ターミナルから市内バスが随時運行され、10分ほどで到着する。ソウル圏からは東ソウルターミナルから聞慶ターミナルまで直通市外バスが運行し、日帰りでの訪問も可能だ。市外バスの所要時間は約2時間。

| http://saejae.gbmg.go.kr

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