Yuckyのうまうま大邱! ⑦ チュオタンの専門店サンジュ食堂
「大邱の明洞」といわれる東城路(トンソンノ)は、オシャレなショップやレストランが建ち並ぶ賑やかな繁華街です。そんな東城路の一角に、大邱で最も古いチュオタン(ドジョウ汁)の専門店、サンジュ食堂があります。
初めて行った時、繁華街のビルの谷間に突然古い韓屋が現れ、本当にビックリしました。古い瓦屋根に重厚な木の扉、白菜が積まれた通路を抜けると広い調理場になっています。屋根を張った土間は、昔は中庭だったようです。お客は大きな鍋の横を通って奥の部屋に通されます。
創業1957年、飴色の梁と柱にその歴史が感じられます。床はピカピカに磨きあげられ、部屋のところどころに小さな円卓が置いてあります。韓紙張りの壁には創業者の写真、座右の銘、創業当時使われていた調理道具など、見るべき物がたくさんあってなかなか座ることができません。ようやく腰を下ろすとすぐさま紅白の2種類のキムチと細かく刻まれた唐辛子が運ばれてきました。キムチはもちろん自家製です。メニューはチュオタン(8000ウォン)だけなので、注文せずとも出てきます。
チュオタンにはソウル式や南原(ナムォン)式、江原道(カンンウォンド)式などありますが、サンジュ食堂のチュオタンは慶尚道(キョンサンド)式。ドジョウをすり潰して作るスープは日本の味噌汁のように実にアッサリしています。
隠し味に牛の小腸や内臓も使ってあるとのことですが、あくまでも主役はドジョウ。姿が見えないので、ドジョウはいったいどこに? と思いましたが、スープの中にちゃんと活きていました。薄味に仕上げてあるので、好みで唐辛子や山椒を入れていただきます。濃厚なチュオタンが好きな人には少々物足りないかもしれませんが、この慶尚道式のチュオタンを求めて全国からファンが集まって来るのです。
そして、もう一つの主役は具材の白菜です。ドジョウの旨味をたんまり吸ってクタクタになるまで煮こんであるので、いくらでもお腹に入っていきます。
昨年うかがった時、2代目社長のチャ・サンナムさんが、水に浸かった大量の白菜と元気に泳ぐドジョウを見せながら「うちで使うドジョウは全て国産の天然ものなの。冬になるとドジョウは冬眠するし、高冷地栽培の白菜は畑で凍ってしまうから、1月と2月はお店を閉めてしまうのよ」と話してくださいました。お母様から引き継いだ店を今日まで守ってくるまでにはたいへんなご苦労もあったでしょう。社長さんの凛としたお姿に、時の重さを感じました。
それにしても、社長さんのお肌のキレイなことといったら! ドジョウはスタミナ食でもありますが、コラーゲン豊富な美容食でもあります。70歳代とお見受けしましたが、ドジョウを食べていると、こんなにも張りのある美肌になれるのでしょうか。う~ん、ドジョウ効果はあなどれません!
サンジュ食堂は、韓国農林水産食品部と韓食財団が指定した「韓国の老舗飲食店100店」にも選ばれており、忘れてはならない大邱の老舗の一つです。ビルの谷間の古い韓屋で、慶尚道式の美味しいチュオタンをぜひ味わってみてください。ただし、冬場はドジョウと一緒にサンジュ食堂も冬眠しますので、ご注意くださいネ。
サンジュ食堂
大邱広域市中区国際報償路598-1
3月1日~12月15日のみ営業
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