Yuckyのうまうま大邱! ⑩ マクチャンスンデ

2017年09月22日

sunde

 

大邱を食べ歩くようになって5年ほど経ちますが、大邱にはまだまだ美味しいものが潜んでいるようです。今年の初め、「おお、これは!!」というものにまたまた出逢ってしまいました。

それはマクチャンスンデです。スンデは赤黒いソーセージみたいな物で、市場や屋台でとぐろを巻いたスンデを見かけた方もいらっしゃるでしょう。一見グロテスク、豚の血が入っていると聞いて敬遠する方も多いのではないでしょうか。でも、今回ご紹介するマクチャンスンデは、見た目とは相反して予想を上回る美味しさだったのです。

スンデとは、豚の腸にもち米や春雨などを詰めたものです。通常、具を詰める外側の部分には豚のコプチャン(小腸・大腸)が使われていますが、マクチャンスンデは、コプチャンの代わりにマクチャン(直腸)が使われています。マクチャンは一頭の豚から約250gしかとれない貴重な部位で、こんがり焼いて食べるマクチャン焼きは大邱ではとても人気があり、決して珍しい食材ではありません。

美味しいマクチャンスンデをいただけるのは、大邱駅と西門市場の間にある西城路(ソソンノ)というエリアです。街の中心部にありながら周りの近代化から取り残されたかのように古い街並みが残っています。戦後、ここにはテジクッパ(豚のスープの雑炊)の食堂ができ始め、かつてはものすごい賑わいを見せていました。別名、豚路地(テジコルモク)と呼ばれ、密陽、釜山と並んで「韓国三大豚通り」の一つともいわれています。当時、安くて滋養のつくテジクッパは、大邱に集まってきた避難民にとても人気があり、産業工具通りの労働者や西門市場の商人には馴染みの食堂街でした。その後、サムギョプサルやテジカルビの焼肉の人気に押され、だんだん衰退していくのですが、今でも古い食堂の看板や家屋の横の大きな釜が当時の面影を漂わせています。

次々と食堂が消えていく中で、豚路地の味を引き継いでいるのが、密陽食堂、8番食堂、イモ食堂の3つの食堂で、西城路の入口に肩を寄せ合うようにかたまって建っています。いずれのお店もテジクッパと共にマクチャンスンデを提供していて、朝も昼も夜も、マクチャンスンデを肴にソジュを楽しむ人がひっきりなしに訪れています。これらの店のこだわりは、仕入れ値が高くても、臭みが少なく肉質の柔らかい雌豚を使っていること。そしてクッパにもニラではなくネギを入れる大邱スタイルを守っています。

さて、マクチャンスンデが普通のスンデとどう違うかといいますと、まずなんといっても食感です。マクチャンには厚みと弾力があるので、プリッとした歯応えがあり、スンデの皮というより肉を食べている感じで、噛めば噛むほど味が出てきます。また中の具には、もち米、タンミョン、豚肉、椎茸、玉ねぎ、ニラ、など20種あまりの材料が使われています。塩分は控え目、甘酢に付けるとサッパリといただけます。心配していた豚の血の臭みもなく、プリプリの後にモチモチ、最後にテカテカに塗られたごま油が香りを添えます。

一度好きになると癖になる、といわれているスンデですが、マクチャンの本場・大邱のマクチャンスンデをぜひ召し上がってみてください。スンデが未経験の方も、勇気を出して食べてみて! プリップリの食感がたまりませんよ!

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