Yuckyの大邱10味紀行 ⑨ ヤキウドン

2015年12月02日

ヤキウドン この夏、久しぶりに大邱へ行って参りました。数か月ぶりの大邱で気が付いたのは、街中に和製韓国語が増えたこと。最近、日食(イルシッ)と呼ばれる日本食が人気のようで、お寿司屋さんの前に行列ができているのを見かけました。食堂の看板やメニューにはトンカツ(돈까스)、コロッケ(크로켓)、カレー(카레)、おでん(오뎅)などなど…、日本伝来の食べ物がハングル文字になって踊っています。

韓国で定着している和製韓国語の一つにうどん(우동)があります。日本のうどんに近いのは、以前ご紹介したヌンククス(누른국수)ですが、大邱10味の中に、もう一つ、全く別のうどんがあります。それが今回ご紹介するヤキウドン(야끼우동)です。

うどんといっても、麺はチャンポンのような太い中華麺で、エビ、イカ、豚肉、キャベツ、玉葱、人参、ニラ、もやしなどと炒めた「汁なしチャンポン」といった方が解りやすいでしょうか。味付けにニンニクと唐辛子が加わり、平皿に盛られたうどんは赤い色をしていて、一見してその辛さが分かります。麺をすすりながら食べるので、食べ終わった後は唇がピリピリしてきます。付け合わせのたくわんや甘味噌をつけた玉葱で、口の中で辛さを中和しながらいただきました。

ヤキウドンは、1970年代に東城路(トンソンノ)にある中華料理店「中和飯店(チュンファパンジョム)」のシェフ張裕青(チャン・ユチョン)氏が、大邱のオリジナルのうどんとして作ったのが始まりです。その後、徐々に大邱全土に広がり、今や大邱のほとんどの中華料理店のメニューに「ヤキウドン」が載るようになりました。「中和飯店」は、現在では2代目が引き継ぎ、ヤキウドンの元祖として大邱では有名なお店になっています。

私が「中和飯店」に行った時、予想通りほとんどのお客さんがヤキウドンをオーダーしていました。そして、辛いヤキウドンと一緒に甘い酢豚を食べているテーブルが多かったように思います。辛さと甘さでバランスをとっているのでしょうか。残念ながら、私は山盛りのヤキウドンでお腹がいっぱいになり、とても酢豚まで手が出ませんでした。

後で聞いた話によると、ヤキウドンは一人一皿というより、みんなで取り分けて食べるのが通例だそうです。それでドカ盛りなのですね。また、急な来客や親せきが集まる時に出前を頼むことも多いそうです。

そういえば、私の故郷・長崎でも、皿うどんをよく出前でたのみます。チャンポン麺で作る太麺の皿うどんは、麺の食感といい、具材といい、大邱のヤキウドンによく似ています。砂糖文化の長崎では、甘い味付けですが、海鮮が味を引き立てているところはヤキウドンと同じですね。また、みんなで取り分けて食べるところも似ています。

また、長崎皿うどんはチェーン店の台頭で、今や全国区になっていますが、ヤキウドンのテリトリーは、大邱の中だけに留まっているようです。先日、釜山の友だちにヤキウドンの話をしたら「ヤキウドンって何?」と反対に尋ねられました。釜山ではソース味の焼きそばやチャンポンはよく食べるけど、そのようなウドンは見たことがないというのです。車で1時間しか離れていない釜山の人が知らないというのですから、ヤキウドンは大邱でしか味わえないといえるでしょう。

最後に「一度食べると癖になる」といわれるスパイシーなヤキウドンは、夏は暑くて冬は寒い大邱の気候にもマッチしているように思います。夏は汗をかきながら、冬はポカポカ温まりながら。ボリューム満点で具材も豊富、なのにお値段は一皿7千ウォンというお手軽さ。もし、チャンスがあれば、大邱のヤキウドンにチャレンジしてみてはいかがでしょう。ただし、ヤミツキになるヤキウドンの中毒性にはご注意くださいませ。

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