〈Star Interview〉 俳優 ソン・イェジン

2016年09月21日

「大韓帝国最後の皇女『徳恵翁主』の
キャラクターにはまってしまいました」

俳優ソン・イエジン俳優ソン・イェジンは映画「徳恵翁主」(監督ホ・ジノ)を通して初めて、実在の人物の演技に挑戦した。ソン・イェジンが演じた徳恵翁主は高宗の金枝玉葉の娘であり、朝鮮の最後の皇女である。高宗の崩御後の13歳になった年、留学という名目で家族と離れて日本に連れて行かれ、愛する故国を離れることとなった。その時から徳恵翁主の人生は変わった。日本伯爵の宗武志と強制的に政略結婚をすることになり、統合失調症にかかって精神病院にも入院した。夫と離婚した後、娘の正恵を失い、1962年になってようやく故国朝鮮の地を踏むことができた。

「『徳恵翁主』は、一人の女性の人生の話です。商業映画なので、どうしたら面白く伝えることができるかとたくさん悩みました。無理やり話をつくりだすような映画は見せたくなかったのですが、かといって知られている歴史的資料も多くなかったのために、悩みも大きかったように思います。見る人によって好き嫌いも分かれると思いましたが、期待以上によく見てくださる方々が多くて感謝しています。私たちが表現したかった時代の痛みに共感してくださっているということが、今一番幸せです」

ソン・イェジンは「徳恵翁主」を通して、2005年の映画「四月の雪(原題「外出」)」以後、10年ぶりにホ・ジノ監督と再会した。映画界で男性の俳優と監督の再会はしばしばあったが、女優と監督の再会は異例のケースでもある。「私も監督に対する信頼がありましたし、監督も私を信じてくれたようです」としながら「監督は私に『こうしてください』といいませんでした。実在の人物という枠は与えられましたが、それを少しずつ崩していくことができたのは監督のおかげ」と告白した。思い通りにいかない制作環境のため、緊迫して撮影しなければならないことも多かったが、「監督はついに成し遂げました」と笑った。

映画「妻が結婚した」、「ザ・タワー」、「共犯」、「パイレーツ」、「秘密はない」などの作品を通じて限界のない演技スペクトラムを証明したソン・イェジンだったが、「徳恵翁主」の押しつぶされるような重みは格が違った。病院の看護婦だった自分の日本語の先生の義母から聞いた徳恵翁主の姿を想像しながら、孤独と痛みに共感した。これは、徳恵翁主の苦労を演技するために重要な手がかりとなった。うつろな瞳、曲がった背などは、ソン・イェジンが重要なポイントと考えて演技した部分だ。そのようにして、ソン・イェジンは徳恵翁主になっていった。「ユン・ジェムンが親日派の韓澤秀に見えた」という彼女の言葉は、ソン・イェジンもその瞬間だけは徳恵翁主になったということを意味する。

「実在の人物を表現するにあたって、制約は確かにあったように思います。大韓帝国の最後の皇女というタイトル、日帝強占期という時代背景がとても重く感じました。今まで人物の感情や行動を演技する時に、想像もしながら表現をしてきました。だからといって悲劇にばかり人物を閉じ込めてたくはなかったのです。すべてが悲劇だらけだったとしたら、観ている方も苦しいと思うのです。私がつくりたい徳恵がありましたが、観客が観たい徳恵も表現することが重要だということも忘れないようにしました」

「今でも心がとても複雑な感じです。(撮影の時は)すべての感情が深く刻まれていたのだと今更ながらに感じます。徳恵翁主の人生は映画以上に映画のようだったと思います。母の死や娘の正恵の死も悲しいことですが、あまりにも簡単に忘れてしまったようにも思います。撮影当時はポクスン(ラ・ミラン)と別れ、母の訃報を聞いたときの場面で、実際に私が30分も泣いたそうです。自分でも知らないうちに感情がそのように積もったようです。入国を拒否された時も、ユン・ジェムン先輩が見えずに韓澤秀に見えたのはなぜなんでしょうね…」

 

自分の映画に10億を投資「話題になって居心地が悪い」

これまで日本植民地時代を背景にした映画がなかったわけではなかった。しかし、映画界では、このような作品は興行的に難しいという意見が支配的だった。当時に関する歴史的考証が難しく、ありがちなストーリーになりやすいという限界があった。しかし、最近の映画「暗殺」や「東柱」、「アガシ」などが日本植民地時代を背景によい成果を収め、今年9月に公開される「密偵」は期待作として注目されている。歴史的な評価が完全に行われていない徳恵翁主を映画化した理由を訊いてみた。

「監督は、原作である権丕暎(クォン・ビヨン)作家の小説が100万部のベストセラーとなった理由が何なのか、考えてみたそうです。(徳恵翁主は)独立運動をしたわでもなく、歴史上の偉人もたくさんいますが、個人の生活を覗いてみるのも意味があることだと思います。確かに日本で贅沢三昧しながら生きることができたはずなのに、そうすることができませんでした。映画でも徳恵翁主が静かに生きて忘れられた人物として描いています。誰もが独立運動をできたわけではないのです。そうすることができずに残念な生活を送るしかなかった人も記憶するべきではないでしょうか」

主演俳優でありながら、自分が出演する映画に10億ウォンという大金を投資したことも話題になった。

「所属事務所と相談して、10億を投資したことですが、あまりにも話題になって居心地が悪いです。(笑い)『徳恵翁主』が映画化されるまでに長い時間がかかり、女性が主人公の映画は、投資自体が簡単ではありませんでした。さらに、時代劇であるだけに、基本的に予算規模が大きくならざるを得なかったのですが、多くの制約がありました。映画を撮りながら縮小される場面も出てきてしまったので、観客により生き生きと伝えて見せたいという気持ちが大きくなって、投資を決心しました。見所よりもドラマが重要な映画で、それに重点を置いていますが、少しでも作品の役に立てればと思いました」

自分が出演した映画を見て涙を流したのも、撮影が終わった後もキャラクターにはまっていたことも、ソン・イェジンにはすべて初めてのことだった。10億を快く映画に投資しているでけに、映画に対する愛情と真心が感じられた。これまで女優として着実に新たな領域に挑戦してきたし、極端なキャラクターを表現することにも躊躇しなかった。ソン・イェジンは、自分が渇望して願ってきた「俳優ソン・イェジン」のレベルに達していると思っているのかがふと気になった。今も彼女にとって演技は優先順位であり、これに没頭することができる作品が最も大事である。

「実際、私は壮大な夢を持って演技を始めたのではありません。ただ、演技の面で完成した俳優になりたいし、演技的に深く考えることができるような演技を見せたいと思っていました。明るく元気できれいというよりは、人生の哀歓が感じられるキャラクターに、より目が行きました。だから、若い年齢でも映画「恋愛時代」や「四月の雪」を演じることができました。今でも演技以外のものは、私の優先順位となっていないと思います。どのような姿を見せたとしても、演技にオールインできる作品でまたお目にかかれればと思います」

 

記事提供:ニュース1スター | www.news1star.co.kr

写真提供:ロッテエンターテイメント

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