新作映画「チャンピオン」

2018年06月12日

夢へと向かう腕相撲チャンピオンの大勝負

「チャンピオン」

 

챔피언_스틸-(1)

 

学生時代を過ごした男性なら一度くらいは誰でも挑戦した勝負がある。それが腕相撲だ。幼年時代、教室の一角でわずか数十秒で倒す側と倒される側の決着がつくこの勝負は、月日が過ぎても変わらない男のロマンが漂う。5月、韓国で公開された「チャンピオン」(監督:キム・ヨンワン)は、一人の男が自分の人生を賭けた勝負を腕相撲に比喩して描く、かなりドラマチックな映画だ。

ストーリーを簡単に紹介しよう。かつて腕相撲世界チャンピオンに挑戦したことがある外国養子のマーク(マ・ドンソク扮)は、ロサンジェルスのクラブで用心棒として働いている。そんな彼は、自称スポーツエージェントのジンギ(クォン・ユル扮)の勧めで、自分の祖国である韓国へ帰ってくる。自分を養子に出した実の母の家を訪ねるが、そこには一度も見たことがない妹のスジン(ハン・エリ扮)とその家族が住んでいた。仕方なくスジンの家に居候することになったマークは、面識がなかった家族とぎこちない同居を始める。そんな中、エージェントのジンギがマークを利用して大きなお金を稼ぐためにヤミ金融に接近しながら、事件が動き出していく。

 

챔피언_스틸-(3)

 

主人公のマークは子供の頃、米国に養子に出された人物で、米国社会に適応することができなかったキャラクターとして描かれる。いい換えれば、生まれてから一度も家族の愛や絆を感じたことがなかったということだ。彼がアメリカで腕相撲に全力を尽くすのは、東洋人に対するアメリカ人からの偏見による視線と自身が感じる寂しさから逃げるためだった。

そうした彼に突然、妹のスジンとその息子と娘、そして友人ジンギたちの応援が加えられる。「必ず勝ってチャンピオンになる」という明確な目的ができた瞬間だ。勝つという約束のために、腕相撲大会で倒されないよう必死に努力するマーク。自分のためだけに戦ってきた勝負が、今では家族のための勝負となり、これまで相手に勝つためだけに使ってきた手が、妹や甥、そして友人を可愛がるために使う手へと感動的に変わっていく。映画の序盤にはマークが勝つか負けるかによって観客を引き込むが、終盤では彼らの家族が皆一緒に幸せになれるのかが観客を引きつける。韓国映画特有の情緒を、幼稚にならないように誘導する監督の演出の賢さが遺憾なく発揮されている部分でもある。

 

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多少幼稚かと思った腕相撲アクションは、期待以上にドキドキさせる。がっちりと握り合った手が、力の加減や技術によって行き来しながら勝負を決める単純なものなのに、そのシーンは新鮮で緊張感があふれる。優勝をかけた最後のアクションはやはりこの映画の最大の見どころで、ただの腕相撲が完璧なアクションとなる独特の編集と演出力で完成されているため、このシーンを見た観客たちは一同に歓声を上げるしかない。

実際に、単に相手の腕を倒すだけのことだと思っていた腕相撲がかなりエキサイティングな迫力で迫ってくるのはマ・ドンソクの力によるところがほとんどだといえる。昨年、映画「犯罪都市」を通じて普通の男性の太ももと同じくらいの太さを持つ腕で、中国朝鮮族ギャングを倒しながら捕まえる刑事役を演じ、シンドロームまで起こしたマ・ドンソクがいなければこの映画は成り立たなかっただろう。

製作発表会でマーク役のマ・ドンソクは、「腕相撲を扱った映画を長い間待っていた。子供の頃からシルベスター・スタローンのファンで、彼が出演した腕相撲映画『オーバー・ザ・トップ』を観て、長い間腕相撲アクションを夢見てきた。10年以上この思いを持ち続けてきたが、今回幸運にも参加することになった」と語り、「試合を控えた選手のように、2年近く訓練した。最も重用な腕相撲アクションが、ただの演技として見られたくなかった」と付け加えた。ちなみにマ・ドンソクはこの腕のアクションのために、国家代表腕相撲選手たちから専門的な訓練を受けたという。ただでさえ太い二の腕も20インチまで鍛えたと伝えられた。

 

챔피언_스틸-(2)

 

韓国映画特有のユーモラスなギャグも映画を見る楽しみとなり、主演俳優マ・ドンソクを楽しむ方法になる。険しい顔は近所の子供たちから「怪物」、「ゴリラ」などの純粋な嘲笑を誘発するが、そんな怖い顔からどんどん飛び出すギャグは、その怖い顔と対比して可愛さが感じられ、笑いを誘発する。

一見ありがちな感動ストーリーだが、単純な内容を克服するための監督の苦悩により、極め付けの完成度が見られたことも高く評価されている。単に一人の男が腕相撲チャンピオンになるために前だけを見て努力している姿だけではなく、マメでいっぱいの硬くなったマークの手のひらは時間が経つほど少しずつやわらかくなっていき、観客の自然な共感をもたらす。

韓国では5月は「家庭の月」と呼ばれる。日本と同様に子供の日と母の日があり、家族の意味を振り返る月であるため、この「チャンピオン」を通じて、韓国特有の家族愛の意味を間接体験するには最適だといえる。ランニングタイム1時間48分。 12歳観覧可で、5月1日から公開中。

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