新作映画「マスター」
朴槿恵(パク・クネ)大統領の知人女性が国政に介入していたことが発覚したスキャンダルが韓国を大きく揺り動かしている。背後に多くの財閥がかかわっているこの事件は、今後も波紋を広げていくとは思うが、そのようなスキャンダラスな素材にタイミングを合わせた犯罪娯楽アクション映画が「マスター」だ。韓国の政界・財界・法曹界を巻き込んだ、建国以来最大規模の兆単位の詐欺事件をめぐって、これを追う知能犯罪捜査隊と希代の詐欺犯、そしてそれを支えるブレーンまで、彼らの騙し騙される追撃を描いている。
ハリウッド映画でも既にスターの座を得た俳優イ・ビョンホンは、新作「マスター」で希代の詐欺師として圧倒的なカリスマと政財界にも精通するチン会長に扮する。イ・ビョンホンにとっては8年ぶりの悪役としてのカムバックだ。韓国映画で悪役を演じたのは2008年「グッド・バッド・ウィアード」に続く2度目だ。
前作の映画「隠された時間」で主演を演じたカン・ドンウォンは、今回はキム・ジェミョン役として頭脳明晰、成績優秀な知能犯罪チームのリーダーとして大活躍する。
そして、このストーリーのキーマンであるチン会長のブレーンであり、ネットワーク商法を行う企業「ワンネットワーク」のシステムを作り上げたパク・チャングン役のキム・ウビン。知能犯罪チームでジェミョンを補佐しつつ、ターゲットに罠を仕掛ける捜査員役のオム・ジウォン。映画の脇役としては超一級のオ・ダルスという豪華キャストが出演した。
ストーリーは、次のように展開する。派手な弁舌で人を幻惑する才能と、政官界を行き来する人脈で数万人の会員に詐欺を働いてきたワンネットワークのチン会長。半年間、彼を追跡してきた知能犯罪捜査チーム長キム・ジェミョンは、チン会長の最側近であるパク・チャングンを圧迫する。ワンネットワーク電算室の位置情報とチン会長のロビー帳簿を渡せというのだ。優れたプログラミング能力と明晰な頭脳でワンネットワークを育ててきたパク・チャングンは、計画に支障が生じたことを感知するや否や、次の作戦を立て始める。チン会長を含め、彼の後ろに隠れた権力を捕まえるため、包囲網を狭めていくジェミョン、むしろこの機会を利用して金も取りまとめ、警察の圧迫からも抜け出す計画を立てるチャングン。しかしチン会長は幹部の中に裏切り者がいることに気づき、新しい計画を稼動する…。
この映画は、韓国では昨年末に封切となったが、興行成績700万人を超えるヒット作となった。すでに、米国、オーストラリア、ニュージーランド、イタリア、香港、台湾、タイ、フィリピンなど31ヵ国・地域で上映されると、配給会社のCJエンターテインメントが発表している。また、CJエンターテインメントは、「洗練された演出力をもつ作品」と観客から好評を得て、550万人の観客を動員した映画「監視者たち」のチョ・ウィソク監督による2作目という事実も好評のポイントであることをアピールしている。
この映画の見どころは、徹底した計画性と華麗な話術、完璧なネットワークで最大規模の詐欺事件を起こしていくチン会長役のイビョンホンが、特有の爆発的エネルギーと強烈なカリスマで迫真の演技を披露することだ。インタビューの中で彼は「私の演じるチン会長は巧みな話術をもち、時々刻々変身できるので、詐欺師としてのあらゆる資質を兼ね備えた人物だ。映画『インサイダーズ/内部者たち』は長い時の流れの中で変わっていく人物の姿を描きながら多彩な面を見せることができたとすれば、『マスター』はキャラクター自体が様々な変身が可能なので、多様な姿を見せることができると思う」と語った。制作陣は「イ・ビョンホンは絶え間ないキャラクターの分析と数回にわたる変装テストをし、チン会長を完璧に表現するため一生懸命努力していた」と伝えている。
また、最近、500万の観客数を突破して「チェ副祭」ブームを起こした「黒い司祭たち」のカン・ドンウォンは、希代の詐欺事件を追う知能犯罪捜査隊チーム長として、計り知れない政界・法曹界・経済界の組織の中で、孤独な捜査を導く知的で精錬されたカリスマ、そこに相手が強ければ強い程、更に激しく果敢に猛進する刑事キャラクターを演じ、好評を博している。
これだけ豪華な顔ぶれの映画であり、アクションとストーリー性にあふれ、完成度も高く、今の韓国の大統領スキャンダルという前代未聞の事件とぴったり時代を共にした、この映画「マスター」は、勧善懲悪、善は必ずどんな困難にも知恵と能力で勝ち取ることができるということを訴えた傑作である。見終わった後のモヤモヤ感もなく、2017年韓国映画が送る、「正義」の力を日本の映画ファンにも与えてくれるだろう。
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