新作映画「悪質警察」
悪い人間の上のもっと悪い彼らに向けた豪快な反撃
犯人を捕まえるべき警察官が犯人よりひどく、悪辣だ。イ・ソンギュン主演の新作「悪質警察」の主人公であるチョ・ピルホだ。
映画「悪質警察」は、裏金と不正を容認し、犯罪をも起こさせる悪質警察「チョ・ピルホ」(イ・ソンギュン扮)が、巨大企業の違法秘密資金事件と関わりながら起こる血も凍るような戦いを描いた作品だ。犯罪者よりも悪辣な警察に扮したイ・ソンギュンのアクション演技とニューフェイスのチョン・ソニ、そして激しいアクションと残酷な犯罪がからまってランニングタイム127分を満たす。
悪質警察を自任する主人公チョ・ピルホは、職業だけの警察官だ。自分を「警察が怖くて警察になった人」といいながら、裏金をもらって不正に目をつぶる、間違いなく警察失格の人物だ。
いくつもの悪行を犯し、危機のたびに古狸のように抜け出してきたが、尻尾が長いと捕まるものだ。不正行為に気づいた警察庁の監査チームが彼を圧迫し始めたが、チョ・ピルホは悪行を止めない。
緊急に大金が必要になったチョ・ピルホは、ついに警察の押収倉庫にまで手を伸ばす。ところがその日、押収倉庫を荒らすために一緒に行ったパートナーが疑問の爆発事故で死亡するという予期せぬことが起きてしまう。当然、現場にいたチョ・ピルホは、事件の唯一の容疑者として目をつけられ、爆発事故においては潔癖な彼は、濡れ衣を晴らすために事件を追跡する。
爆発事件を追跡する中でチョ・ピルホは、巨大財閥であるテソングループが背後にいることを知り、それと共に偶然に爆発事件の証拠を握った少女の存在も知るようになる。チョ・ピルホは自分の潔白を証明するために、少女ミナ(チョン・ソニ扮)を追う一方で、背後のテソングループの手下たちまで加勢して少女を手に入れるための対決が始まる。
映画は徹底した犯罪映画だ。「悪質警察」を演出したイ・ジョンボム監督の前作であるウォンビン主演の「アジョシ」(2010)、チャン・ドンゴン主演の「泣く男」(2013)と同様に、公権力は正常に動作せず、不正腐敗が横行し、権力者たちの野望がはびこる暗い世界観を独特の話法で描き出す。
俳優の演技はあまりにもリアルで魅力的だ。主人公イ・ソンギュンは、善と悪がはっきりしない境界で迫真に迫るアクションを完全に消化して劇を最後まで導き、テソングループの下手人として悪役を担当したパク・ヘジュンは不気味な目つきで観客たちの息を止めさせる。新鋭チョン・ソニは28歳とは思えないほどに、惨状を経験した女子高生ミナ役を完璧に消化した。
注目すべき点はもう一つある。映画の舞台が京畿道安山市檀園区であるという点である。安山市檀園区は2014年4月16日に発生したセウォル号沈没事件で修学旅行に行った檀園高校の学生の多くが死亡した痛みを経験した所である。映画は、まさにこのセウォル号事件が発生して1年後の安山市を舞台に繰り広げられるが、事件の鍵を握った少女ミナがこのセウォル号の惨事から生き残った生徒という設定で、映画の中にセウォル号の痛みを投影する存在として位置づけられる。
全国民の胸に傷を残した惨事であるだけに、監督は映画の中のセウォル号を非常に慎重に扱う。結末までそのテーマを持っていくが、商業映画の装置として格下げさせることなく、メッセージに焦点を合わせる。犯罪アクション映画特有の悪行と断罪にとどまらず、「大人の義務と責任」について絶えず質問を投げかける。
濡れ衣を着せられた警察が巨大な陰謀に立ち向かうというありがちな枠組みを、映画をセウォル号という惨事を通して私たちが得るべき価値を投影することも「悪質警察」ならではの賢さだ。
ただし、19歳未満観覧不可という等級らしく、前作「アジョシ」と同様に、暴力的なアクションと悪口、残酷で苦しい犯罪描写などが127分にわたるため、覚悟をして観ることをお勧めする。3月20日に公開。
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