新作映画 | 「鋼鉄の雨」

2018年01月05日

北朝鮮で起きたクーデター、朝鮮半島の核戦争を防げ!

리뷰_강철비_포스터A 近い将来に、朝鮮半島に核戦争が起こるとしたら? 考えただけでもぞっとする恐ろしい状況だといわざるを得ない。映画「弁護人」で優れた演出力を認められたヤン・ウソク監督が、ハリウッド映画の独壇場だった戦争映画でカムバックした。チョン・ウソン、クァク・ドウォン、キム・ガプス、キム・ウィソン、イ・ギョンヨンが出演する映画「鋼鉄の雨」だ。

映画は序盤から速い劇展開で観客をストーリーの中へ引き込んでいく。北朝鮮の元兵士「オム・チョルウ」はクーデターが目前に迫っているという極秘情報を知るようになる。彼の元ボスである偵察総局長「リ・テハン(キム・ガプス)」はオム・チョルウにクーデターの中心人物を暗殺するよう密命を下す。ターゲットを追って、開城工業団地に潜入するが、ターゲットは見当たらず、いきなり空から大量殺傷用弾頭「スチールレイン」が降り注ぎ、会場が血の海となる。会場の一角では北朝鮮の首長が重傷を負って失神している。委員長が死ねばクーデター勢力が執権する。オム・チョルウはクーデターを防ぐための最後の手段として、委員長を車に乗せ、韓国に向かう。

クーデターに成功した北の軍部勢力は、韓国とアメリカに向けて宣戦布告し、新しい大統領の当選を迎えたばかりの韓国は政権移譲もなされていない状態のため、北朝鮮の攻撃に混乱する。

アメリカCIAと日本、中国の主要な外交官と緊密な関係にある外交安保首席クァク・チョルウは、最高指導者である「北韓1号」が韓国に来たという情報を入手し、戦争を防ぐために、北韓1号の行方捜索を始める。紆余曲折の末、北韓1号を保護しているオム・チョルウとぶつかるようになったクァク・チョルウ。最初は敵対関係で対峙するが、刻一刻と彼らの首を締めてくる北朝鮮の工作員の攻撃と北朝鮮の核攻撃の脅威の前に、二人は韓半島を一気に焦土化してしまう核戦争を防ぐために協力し始める。

 

리뷰_강철비_메인

 

映画「鋼鉄の雨」の最大の意義は、北朝鮮と核で対峙することになる仮想の状況と、韓半島をめぐる日米中などの周辺国の対応について、どのメディアよりも簡潔で強烈に観客に体験させることにある。半世紀以上にわたって分断状況で生きてきながら実体的戦争に対して多少鈍感になった観客に、戦争が勃発した場合、どのような経路を経て実体的脅威を与えることになり得るかを、綿密に想定されたストーリーを通じて生々しく伝達する。映画の中の仮想状況であることを忘れて、実際の戦争の脅威が自分の目の前に置かれたかのような恐怖が襲うほどだ。

監督デビュー前に人気漫画家として活躍していたヤン・ウソク監督は「鋼鉄の雨」の根幹となったウェブトゥーン「スチールレイン」において、すでに南北情勢の10年にわたる絶え間ない資料調査を通じて、政治的・軍事的な背景知識を積み重ね、その積んだ背景知識によって実際の韓国映画初の核戦争を扱った「鋼鉄の雨」を誕生させた。

ヤン・ウソク監督は、近い将来に韓国で実際に起こりうる南北核戦争を描く過程で、事実性を最重要視して映画を完成した。軍事シーンのために、実際の銃器を空輸し、北朝鮮の軍事物資を中国から直接輸入しただけではなく、劇中で最も残酷なシーンの一つであるスチールレイン(鋼鉄の雨‐映画のタイトルであり、殺傷半径は非常に大きく、世界140ヵ国以上が使用禁止協約を結んでいるクラスター型ロケット弾頭)爆撃シーンなどを通じてリアルさを最大化させながら、戦争の残酷さを強調した。南北出入国事務所のシーンは、実際の場所を交渉して撮影し、北の最高要員オム・チョルウの家のシーンもリアリティを高めるために、北朝鮮のドキュメンタリーを参考にした。

 

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「鋼鉄の雨」のもう一つの長所は、一触即発の危機に面した南北韓と世界列強の利害関係と力学関係をリアルに伝達しながらも、スパイアクション映画での最高値の緊張感と、戦争映画が与える恐怖感、敵対関係で出会った北朝鮮のオム・チョルウ(チョン・ウソン)と韓国のクァク・チョルウ(クァク・ドウォン)のブロマンスが与える密度の高いドラマの適切な調和を通して、映画的な面白みを十分に生かしたことにある。

数ヵ月にわたって平壌方言の訓練を受け、地域別の方言のニュアンスを表現するために、北朝鮮のドキュメンタリーを何度も観る手間もいとわなかったチョン・ウソンは、組織に忠実な愚直な軍人の姿と、娘と妻を持つ平凡な家長の姿を行き来しながら、温かい人間のぬくもりが感じられる北朝鮮要員オム・チョルウを自然に表現した。アクションの演技においては自他共に国内最高を誇る彼らしく、打撃アクションとカーアクションシーンで、心拍数の指数を高める抜群の実力を誇る。アクションの演技と同様に印象的な姿は、オム・チョルウと友情を分かち合う時、また娘に対する時に彼が見せるしっとりとした目の演技だ。

 

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「哭声」をはじめ「特別市民」で主演俳優の座を確固たるものにしたクァク・ドウォンは、バツイチで平凡な父親でありながら、戦争の脅威を防がなければならない高位職官僚、ここにオム・チョルウとの友情まで分かち合わなければならないクァク・チョルウ役を演じ、観客が映画に情緒的に共感させるための大きな役割を果たしている。強烈な悪役演技だけでなく、洗練された雰囲気が感じられる高位職の演技も難なくこなせることを如実に証明した。

北朝鮮偵察総局長役のキム・ガプス、現大統領のキム・ウィソン、大統領当選者のイ・ギョンヨン、北朝鮮要員のチョ・ウジンなどの主要配役の演技から核弾頭が爆発するVFXシーンまで、演技も演出も物足りない部分を見つけるのが難しいくらいだ。

 

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「鋼鉄の雨」のメッセージは明瞭だ。監督は、映画を通じて南北が直面している現在の状況にしっかりと向き合って考える必要があり、解決のための想像力が必要であることを投げかける。これは韓国と北朝鮮だけの問題ではない。朝鮮半島の戦争の脅威をより身近に感じている日本の観客にも、与えるメッセージの重さが少なくないため、見る価値は充分にある。ランニングタイムは139分、15歳以上観覧可。

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