映画「タチャイカサマ師 – 神の手」

2014年11月25日

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永遠の友も永遠の敵もいない賭博黙示録

「タチャイカサマ師 – 神の手」

 
 「タチャ」とは、韓国語で最高のギャンブラーという意味だ。賭博場でのみ使われる言葉だが、最近では一つの分野で最高の実力を持った第一人者を意味する俗語としても使われる。映画「タチャ イカサマ師‐神の手」(監督:カン・ヒョンチョル)は、韓国最高の花札師で「タチャ」と呼ばれる叔父の「コニ」に似て特別な才能を持ったテギルが江南賭博場に進出し、華やかながらも薄汚い花札の賭博場で孤軍奮闘する姿を描いた、映画「タチャ イカサマ師」の続編である。
 子供の頃から近所の子供たちの消しゴムと面子を総ざらいにした「タチャ」コニの甥テギル(チェ・スンヒョン)。彼は、初恋の相手のホ・ミナ(シン・セギョン)を置いて故郷を離れ、ソウル江南ハウスで華麗なデビューを飾る。ギャンブルの素材は、日本で生まれた花札だ。しかし、賭博場の現実は冷酷だった。永遠の友人がいない花札場でテギルはすべてを失い、お金に追われる身に転落する。 

 一瞬にしてすべてを失ったテギルは、偶然、叔父であるコニの昔の賭博パートナーだったコ・グァンリョル(ユ・ヘジン)に出会って全国を放浪し、絶対悪のヤミ金融チャン・ドンシク(クァク・ドウォン)と伝説のイカサマ師アグィ(キム・ユンソク)に出会い、命を懸けた勝負を繰り広げ、映画はクライマックスに向かっていく。
 映画「タチャ イカサマ師‐神の手」は、2006年に684万人の観客を動員したチョ・スンウ主演の「タチャ イカサマ師」の続編で、叔父のコニに似て子供の頃から特別な才能と勝負欲を見せていたテギルが、誰も信じられないイカサマ師の世界に恐れず飛び込みながら、命を掛けて勝負する姿を描いた。
 映画の原作は、今年でデビュー40周年を迎えた韓国を代表する漫画家であるホ・ヨンマン氏の代表作に数えられる同名の漫画だ。原作漫画の完成度の高さに加え、前作であるチョ・スンウ主演の「タチャ イカサマ師」が作品性と興行性で大きな成功を収めたからこそ続編「タチャ イカサマ師‐神の手」は、制作当時から「原作と前作を越えるか」という話題と論議を生み続けてきた。特に、主人公・テギル役にアイドルグループ・ビッグバンのメンバーであるトップ(本名:チェ・スンヒョン)がキャスティングされ、一部では批判の対象にもなった。
 しかし、結論は、そのような心配とは逆に正解だった。歌手トップは映画俳優チェ・スンヒョンとしてあまりにも完璧にギャンブラー・テギルを演じ、見事に演技力論議を終息させた。前作の主演俳優チョ・スンウをつなぐトップは、これまでビッグバンのメンバーとして舞台でカリスマ性のあるラップを吐き出すのとは裏腹に、鋭い目つきのカリスマギャンブラーの表情を抵抗なく自然に演じた。映画を演出したカン・ヒョンチョル監督は、チェ・ドンフン監督が演出した前作「タチャ イカサマ師」のコニ=チョ・スンウと原作漫画の絶大な人気のために負担を感じて出演を何回も断っていたトップを説得したという。「カリスマ的なギャンブラー役だが、劇の初版でぎこちなく、恥ずかしそうな愛の表現や行動、話し方はいつものトップと同じ姿」というのががチェ・ドンフン監督の言葉だ。だらしなく見えるが、可愛い部分も伝わり、実際のトップと似ているということから、舞台上とは違う普段のチェ・スンヒョンの姿が気になるファンには興味をそそらずにいられない。
 トップのタチャへの変身も見どころの一つだ。実際のタチャに伝授された華やかな花札詐欺術を熟練した手さばきで披露するが、日本の花札が韓国の代表的なギャンブルとなっているという楽しさまで加わり、映画に対する興味が倍加する。
 
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 演出も、トップの演技と同様に興味深い。漫画の本を一ページ一ページめくっていくようなカット割りと俳優の動きは、ランニングタイムを通してスピード感があり、愉快に進行する。特に、主人公・テギルが田舎者から都会のタチャに変化していく過程は、観客の目と耳を楽しませる。速い場面転換とカラフルな色味の服、場所の変化などで描かれるテギルの過去、現在は、充分なスピード感で観客の満足度を増してくれる。 
 ヒロインのシン・セギョンの演技も見逃しては惜しい。テギルの存在理由となるホ・ミナ役のシン・セギョンは「清純グラマー」という彼女のニックネームのように男性を騒がせる官能的な演技を繰り広げる。華やかなドレスを着ても隠しきれないスタイルと独特な目つきから漂う不思議な魅力が清純美とセクシーさを同時に満たしているため、女性観客ならば主人公テギルの心を完全に奪ってしまった女優シン・セギョンに嫉妬を感じることだろう。
 上映時間は2時間を遥かに越える。長時間ではあるが、トップの華麗な賭博の技術と前作に続いて登場する脇役キャラクターたちが退屈させない147分を作り出す。韓国の賭博場が気になる人にとっては見逃せない一作となるだろう。
| http://tazza2014.kr 
文/加藤由香里記者
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