映画「ドキドキ私の人生」

2014年11月20日

ドキドキ私の人生1.jpgドキドキ私の人生0.jpg

悲しいけれど悲しくない家族愛の物語

「ドキドキ私の人生」

 
 映画「ドキドキ私の人生」(監督:イ・ジェヨン/製作社:チプ)は、先天性早老症を患っている子供・アルムについての話だ。韓国文学界に「家族」をテーマとして大きな感動を与えた作品であり、韓国文学界で最も注目される若手作家に数えられるキム・エラン作家の同名の小説を映画化したものだ。 
 アルムは16歳だが、身体年齢は80歳という先天性早老病患者だ。わがままになりやすい思春期の少年だが、大人びて思いやりを持つ彼に、分別があまりなく子供のような両親がいる。父テス(カン・ドンウォン)と、母ミラ(ソン・ヘギョ)だ。暑い夏、山深い涼しい渓谷で出会った二人は、今のアルミと同じ年齢の時に一目で恋に落ち、愛を交わしながらアルミを妊娠してしまう。青少年が妊娠すれば子供をおろしてしまうのが普通だが、彼らは神からの贈り物である子供をおろすことができなかった。 
 子供を産むという信念は強いものの、若い10代の母親が不安を感じないのは無理というもの。母親となるミラは抑えきれない気持ちを整理させようと、妊娠中にも関わらず運動場を走ってはまた走った。しかし、出産への不安感は、子供の先天性の難病という、より大きな試練としてミラに襲い掛かる。普通の人よりもはるかに早く老けるため、早く生命を終えてしまうという先天性早老症という試練だった。「妊娠中に毎日走ったせいで、子供が早老症にかかってしまった」とすべての原因を自分のせいにしてしまう母親のミラ。 
 カン・ドンウォンが演ずるアルムの父・テスは、若くして家長となりながら祖父との縁を切り、タクシーの運転手をしている。学歴もなく、技術もなく、ただ運転ができるという理由だけでやっと見つけた仕事だった。けっして豊かとはいえない苦しい生活だが、テスはアルムが望むことであれば何でもする天使のような父だ。 
 早老症にかかったアルムは、父テスと母ミラの努力と愛情を知っているためか、難病を患っているにも関わらず、何事にも肯定的だ。隣の家のおじいさんに「一緒に老いていく立場」だといいながら気軽に接し、病院の主治医には「僕はいつ死ぬのか教えてほしい」と自然に聞いたりする。自分をこのように創った神を恨むこともあるが、自分よりも自分のために苦労している両親に対して申し訳ない思いがもっと強い、大人のような息子である。 
 このような3人の家族生活が「ドキドキ私の人生」の大きな話の流れである。難病を持った悲劇の状況ではあるが、映画「ドキドキ私の人生」は、いわゆる「お涙頂戴」ものではない。一般的な悲しい映画が公式のように演出する「はい、このシーンで泣いてください」的な状況を作らない。逆に、ウィットの効いた笑いのコードの方が多く登場する。そのためだろうか、映画「ドキドキ私の人生」は、さらに深い悲しみと感動で観客を魅了する。大きな事件も反転もない穏やかなドラマではあるが、感動の周波数は、どんな悲劇よりも響きの強度が強い。 
 
ドキドキ私の人生2.jpg
 
 映画「ドキドキ私の人生」を論じるにあたっては、俳優たちの好演をおいては語れない。日本でも高い人気を誇る俳優カン・ドンウォンは、甘やかされて育った33歳の父親役を、この映画を通して完全に演技した。「チョン・ウチ」、「義兄弟」「超能力者」、「群盗:民乱の時代」などの映画作品を通じて、強烈なキャラクターを受け継いできた彼が、難病にかかった息子を持つこの上なく平凡なこの時代の父を無駄なく表現した。 
 母親役のソン・ヘギョも同様だ。華やかで神秘的な女神のイメージを一旦オフにし、汚い言葉を使ったり、悪口を言う17歳という幼い少女が子供を産むという、弱いながらも強い母を完璧に再現した。ソン・ヘギョの演技力も見どころだ。自分のために息子が早老症にかかったと自分を責めて泣き明かすソン・ヘギョの演技は、映画の中のアルムの母に完全に感情移入してしまうほどだ。 
 難病の早老症にかかったアルムを演じたチョ・ソンモクも注目に値する俳優だ。「ドキドキ私の人生」がデビュー作ということが信じられないほど完璧な演技で大俳優のカン・ドンウォンとソン・ヘギョとの完璧な相乗効果を引き起こす。 映画「ドキドキ私の人生」には、奇跡や反転はない。「老い」が治療することができない世界の真理のように、この映画は、ある瞬間、突然やって来る終わりではなく、決められた決勝戦を目の前にして歩いていくアルムの生き方を、細かく、穏やかに描き出す。
 この秋、家族の意味について考えたい人にとって、俳優カン・ドンウォンとソン・ヘギョが語るアルムの家庭が良い答えになるのではないだろうか。
 | www.facebook.com/mylife0903
文/加藤由香里記者
Pocket

関連する記事はこちら

今日の恋愛00

映画「今日の恋愛」

18年間進展のない二人 その関係は、恋愛? 友情? 「今日の恋愛」   相手が求めるまま、全て叶えてあげるのにもかかわらず、100日も経たないうちにいつもガールフレンドから振られてしまう、小学校教師のジュンス(イ・スンギ)。ジュンスにとって、女心は永遠に解けない宿題だ。…続きを読む

러블리즈_콘서트2018

ラブリーズ、2月の単独コンサート「冬の国のラブリーズ2」開催

 ガールグループ・ラブリーズ(Lovelyz)が2018年2月に単独コンサートを開催する。所属事務所のウルリムエンターテイメントは27日0時、公式SNSを通してラブリーズ(ベビーソウル、ユ・ジエ、ソ・ジス、イ・ミジュ、Kei、JIN、リュ・スジョン、チョン・イェイン)の2018コ…続きを読む

nothumbnail

T.O.Pと上野樹里、韓日合作ドラマで共演

 韓国人気グループ「ビッグバン」のT.O.P(本名チェ・スンヒョン)と、女優の上野樹里が韓日合作ドラマにて恋人役で出演する。韓国大手エンターテイメント企業のCJ E&Mは3月31日、「日本の大手芸能プロダクションのアミューズと共に1年間の企画段階を経て、本格的なドラマ制作に入るこ…続きを読む

ビースト

「カムバック」ビースト、8つの韓国音源チャートで同時1位に

 5人組になって帰ってきたビースト(ユン・ドゥジュン、ヤン・ヨソプ、イ・ギグァン、ヨン・ジュンヒョン、ソン・ドンウン)がオールキル神話を書き換えた。7月4日0時、各音源サイトを通じて公開されたビーストの3枚目の正規アルバムタイトル曲「リボン(Ribbon)」は、メロン、Mネット、…続きを読む

스누퍼_대구홍보대사

スヌーパー、「大邱観光名誉広報大使」委嘱「全世界に大邱の魅力知らせたい」

 グループ・スヌーパーが「大邱観光名誉広報大使」に任命された。所属事務所のウィズメイは「スヌーパーが23日に行われた『大邱観光名誉広報大使』委嘱式を通して、大邱を代表する顔になった」と12月26日に発表した。 スヌーパーは、今回の「大邱観光名誉広報大使」をはじめ、「西部警察広報大…続きを読む

방탄소년단_일본활동

防弾少年団、正規アルバムで日本カムバック確定

 グループ「防弾少年団(アールエム、ジン、シュガ、ジェイホープ、ジミン、ブイ、ジョングク)」が日本で3枚目の正規アルバムを発表する。防弾少年団は4月4日に3枚目の日本正規アルバム「フェイス・ユアセルフ(FACE YOURSELF)」を発売、2016年9月の正規セカンドアルバム「ユ…続きを読む

icon

アイコン、日コンサート 追加公演確定「熱い反応」

 グループ・アイコンが日本で大きな人気を集めて追加公演を開催することになった。YGエンターテイメントは、アイコンの2回目の日本アリーナツアー「アイコンジャパンツアー2016(iKON JAPAN TOUR 2016)」のチケット応募数が殺到し、10月26日東京国立代々木競技場第1…続きを読む

영화창궐_메인

新作映画「猖獗|チャングォル」

人間でも獣でもない「夜鬼」、朝鮮の地に「猖獗」する 「人間でもなく、獣でもないものなのに…。目が血走って牙が生えています。日の光に耐えられず、夜の間だけ活動します。夜鬼に噛まれた人々は夜鬼となり、その夜鬼はまた別の人を噛み…。奴らを退治しなければ、この世に鬼の群れが猖獗してしまい…続きを読む

東海岸圏経済自由区域01
東海岸圏経済自由区域02