映画「南漢山城」

2017年11月07日

屈辱の歴史に向き合った二人の臣下、真の忠臣は誰だ?

 

남한산성_포스터 仁祖(インジョ)14年(1636年)「丙子胡乱」。恥辱的な歴史を扱った映画「南漢山城」は、悲しみ、悲哀、空腹、寒さに満ちている。青みがかった画面に姿を現す寒々とした雪のように心が寒くなる、王と大臣、民の顔は、まるで氷が固まったような悲しい表情を浮かべることさえ叶わない。その沈痛さが作り出す空気は、不毛な朝鮮の地の冬をより硬く凍てつかせる。

映画「南漢山城」は、韓国を代表する大河叙事小説家としてその地位を確立したキム・フン作家の同名の小説をスクリーン化した作品だ。映画化を提案されたファン・ドンヒョク監督は、朝鮮第16代王(在位1623〜1649)の仁祖が清に降伏する屈辱の歴史の前に、いかに多くの悩みと煩悩を抱えてきたのかを大衆に知らせようとメガホンを取ったという。

映画「南漢山城」は、1636年12月、清の侵入によって起こった戦争である「丙子胡乱」当時、清との対話と親善を主張した主和派の崔鳴吉(チェ・ミョンギル/イ・ビョンホン扮)と、清との決死的な抗争を主張した斥和派の金尙憲(キム・サンホン/キム・ユンソク扮)の論争と対立、そして二人の臣下の意見を聞いて決定を下す仁祖(パク・ヘイル扮)の話だ。孤立無援の南漢山城での壮絶な47日、彼らが論争し、吐露する哲学的で美しい言葉と言葉がぶつかりながら出すエネルギーと感情の響きを表現している。

 

남한산성_스틸1

 

朝鮮に対し、新たな君臣関係を要求する清との関係に対する意見が鋭く対立する二人の臣下、吏曹判書・崔鳴吉と礼曹判書・金尙憲は、たとえ意見は異にするとはいえ、国を思う心だけは一つに通じる。瞬間の恥辱に耐え、後日を図ろうとする主和派の意見と、清に最後まで戦って大義を守ろうとする斥和派。仁祖は是非を判断することはできない二人の臣下の意見の間で苦悩する。

劇中、イ・ビョンホン、キム・ユンソク、パク・ヘイルが三角構図を成しながら見せる演技は映画が与える大きな楽しみの一つだ。イ・ビョンホンとキム・ユンソクがそれぞれ演じた崔鳴吉と金尙憲の議論は、重々しく断固としている。その間で苦悩する仁祖を演じたパク・ヘイルの眼差しは、混乱と孤独を内包する。彼は孤立した城での寒さ、窮乏、清の圧迫などで傷ついた内面の演技を見事に見せてくれる。劇的な楽しみを盛り上げるキャラクターは、領議政のキム・リュ(キム・リュ/ソン・ヨンチャン扮)だ。彼は小説と比較しても、他のキャラクターに比べても、より戯画化され、ドラマチックに表現された。劣勢の中、固く南漢山城を守る将帥・李時白(イシベク/パク・ヒスン扮)は、戦場での将帥の姿を通じて重い存在感を見せる。

「国のために二つに割れた二人の忠臣の火花散る議論、
最善の答えを探そうとする王・仁祖の47日間の苦悩」

 

映画は、ところどころに朝鮮時代の身分制度を批判する要素を埋め込んだ。最も正面に立って朝鮮の身分制度に反感を示す人物は、朝鮮の賎民出身の清の訳官であるチョン・ミョンス(チョ・ウジン扮)だ。彼は奴隷の家に生まれ、人として扱われなかった朝鮮での過去を後にして清の外交通訳官の職を手にする。躊躇もなく南漢山城の城門を開けることに先頭に立つ彼の姿から、朝鮮に向けたわだかまりが表れている。民衆のソ・ナルスェ(コ・ス扮)もやはり鍛冶屋で、卑しい身分であるが、誰よりも正義感が強く知恵深い姿で、身分の高低で人を定義することができないということを示している。

 

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小説は、映画として忠実に再現された。清の圧迫によって窮地に追い込まれて悩む王と臣下の表情と、その中でも立ち上る悲壮さが、彼らの表情やしぐさ、声を通して伝えられる。全体的な劇の雰囲気を盛り込んだ、秀逸なミジャンセンが目に入ってくる。カメラは果敢なクローズアップで人物の繊細な表情を捕らえた。日本のミュージシャン・坂本龍一が音楽監督として参加し、韓国の伝統音楽と西洋交響曲を合わせた音楽は、新鮮ながらも違和感なく劇に溶けこんでいる。

最も悲しくもスペクタクルなシーンは北門戦闘だ。小説で大きく取り上げた、キム・リュが300人の兵を率いて戦った北門戦闘は、惨敗した戦闘の様子を赤裸々に描写する。

 

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映画の中で目を楽しませる場面は、この北門戦闘が最初で最後だ。商業映画でよく見られる巨大な戦闘シーンは最大限排除し、議論の叙事を通じて正面から勝負する。商業映画の一般的な興行要素である英雄の登場や、誇り高い勝利の歴史でもない、悲劇と屈辱の歴史を真摯に見つめる新鮮さと、正直な考証を通じて、生き生きとした当時の状況を目にする楽しさを感じることができる。演出も構成もよくつくられた「ウェルメイド」映画だといえる。俳優の演技にも隙がない。ただし、派手なCGやファンタジー、フュージョン史劇、壮大な戦争映画を見慣れた観客には、忠臣の論争を映画の最大の軸に選んだ正統史劇に面白みを見つけることは難しいかもしれない。

映画の結論は、歴史が物語るように定められている。映画が11章をつづる間、王にとっては苦悩と屈辱の時間が繰り広げられる。その寒く長い47日間の時間の末に、仁祖は、三田渡(サムジョンド)渡し場で清の皇帝の前に、清の皇帝に向けた挨拶の方法である三跪九叩頭(三回頭を下げ、九回頭を地に擦り付けるもの)を捧げる。その屈辱的な降伏の後には、ぼんやりとではあるが、春の訪れに対する希望を語り、映画は幕を閉じる。

 

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最後までどちらが正しいのかという結論を出せないこの映画を通して監督は、結論ではなく、質問、すなわち話題を投げかける。是非を決めることができないようなことに質問を投げかけて議論をすること、過去を鏡として、今を映し見ることこそ、私たちに絶えず迫ってくる問題の前に、まず必要なのではないかと語りかける。現在、北朝鮮の戦争の脅威や、米国と中国の強大国の力の論理の前に立つ韓国の現実に、映画「南漢山城」が示唆するところが少なくない。何が正解かは分からない。しかし、少なくとも、韓半島がこれまで数多くの列強との戦争の中でいかにして生き残り、いかなる試練を経てきたのか、また、現在の北朝鮮のミサイルの脅威やサード配置に対する議論など、韓国が直面している情勢が、当時の歴史とは決して別のものではないことを教えてくれる。また、朝鮮と清の君臣関係を理解し​​たい人にとって、映画「南漢山城」は最高の教科書となってくれるだろう。

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