映画「延坪海戦」

2015年08月26日

延平海鮮

2002年6月29日、忘れてはならない6人の勇者たち

 

映画「延坪海戦」

 

実話をモチーフにした「延坪海戦」は、2002年6月29日に発生した「第2延坪(ヨンピョン)海戦」を映画化した作品だ。映画は、大韓民国を守るために命がけで戦った勇士たちとその家族の物語だ。海軍出身の父の誇りの息子である艇長故ユン・ヨンハ大尉、頼りになる夫、操舵長故ハン・サングク下士、聴覚障害を持つ母親の一人息子である故パク・ドンヒョク上兵は、互いに助け合いながら、家族のような存在となる。ワールドカップの歓声でいっぱいだった韓国とトルコの3位決定戦の日、北朝鮮の奇襲艦砲攻撃が行われた。約30分間行われた海戦で、彼らは地獄を経験する。

チェ・スンジョ作家の同名小説を読んで感銘を受けたキム・ハクスン監督は、映画の演出をする決心を固めた。「戦死者と彼らの家族の痛みが自分のもののようだった」と告白した金監督は、本人が感じたままを観客たちに伝えるために、映画の臨場感向上に重点を置いた。美術チーム、セットチーム、衣装チームなどは、徹底した考証を通じてリアリティを生かした。3次元スキャナを使って高速艇を測定し、完璧に近い大鷲357号セット場を完成させ、階級ごとに海軍の軍服を製作した。

金監督は美術、セット、衣装などの細かいことから、映画の中心となる海戦を完全に再現し遂げた。また、金監督はワールドカップの応援シーンから戦士の告別式まで、映画の中に事件当時の映像を挿入し、リアリティを高めた。その中で最も力を入れたのは戦闘シーンだ。実際の戦闘が行われた31分間を表現した。海と空を行き来して行われた撮影は、リアルな戦闘シーンを表現することができ、苦しみの中で追い詰められた軍人の姿を捉え出した。戦争の苦痛が切々と伝わるクライマックスだ。

映画の核心である戦闘シーンはキム・ムヨル、ジン・グ、イ・ヒョヌなどをはじめ、イ・ワン、ハン・ソンヨン、キム・ドンヒなどの俳優の熱演があったため、より輝いた。降り注ぐ砲声の中で死んでいく戦友を助けるため、死闘を繰り広げる戦友愛、極度の恐怖心に追いやられる精神、生命を脅かす対象への怒りなど、言葉にならない感情が絡まった戦闘シーンでは、観客たちまでも息ができないほどにする。また、戦死者たちの崇高な死の意味を彷彿させる。

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物足りなさを感じる部分もある。あまりにも分かりきった内容や、必要以上に強調される愛国心、そして最初から最後まで、涙腺を刺激するためのシーンは、不自然で完成度が不足している。分かりきった3流メロドラマになってしまうところを、31分のリアルな戦闘シーンが救ったといえる。

韓国内では映画の封切りと共に政治的な理念論争も生んだ。当時の大統領と政府が北朝鮮と戦った延坪海戦戦死者と生存者をないがしろにし、無視してしまったと映画の中のニュアンスが感じられるためだ。結論からいえば、これは誤った事実であり、事実に対する誤報だ。当時、政府は、戦死者と生存者に対して原則に基づく最善の待遇を行い、交戦による死傷者に十分な補償を困難にする不合理な法令の改善に乗り出した。それでも映画は当時の大統領が戦死者たちの告別式に行かずに日韓ワールドカップ3位決定戦観覧のために日本に行って試合を観戦したという断片的な事実だけを映像で浮上させる。克明なコントラストを通じて愛国保守主義を強調しようとしたが、特定の政権に対する非難、議論を招き、以前の政権に批判的な保守政権の味覚に合わせた映画となり、政治理念を離れて、すべての国民に知らせないといけない韓国海軍の勝利した戦いである延坪海戦を、みすぼらしく作ってしまった。

政治理念論争に伴う物足りなさは大きいが、北朝鮮と対峙している韓国の情勢とリアルな戦闘シーンはかなり大きな見どころとなるのは事実だ。リアルで凄惨な戦闘シーン、実話だからこそ、胸を焦がすストーリー。韓国の華やかさとは違う戦時状況を間接体験してみたい人に、映画「延坪海戦」が良い選択となるだろう。

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