ソウル庶民の生活を体験し、たっぷりの人情と味を楽しむ – 通仁市場

2014年09月22日

ソウル庶民の生活を体験し、たっぷりの人情と味を楽しむ

通仁市場

 
さわやかな秋風と共に、おいしい便りが話題となっている。景福宮のそばにある在来市場として長い歴史を持つ通仁(トンイン)市場のお弁当が人気を集めているとか。特別な韓国のお弁当を探しに、通仁市場へ出かけてみよう。
文/李壮美記者
 
 ここ通仁市場が作られたのは1941年のこと。当時は日本人のための市場として利用されたが、戦争が終わり、露天商たちが集まって自然と市場が形成されていった。市場の発展に従い、現在の公設市場の母体となる建物が1960年代後半になって建てられた。それが5階建ての孝子商街アパートだが、地下と一階は商店街、3階からは住居用で、建てられた当時には、芸能人や近くにある大統領官邸の職員の居住地として人気が高い画期的な建物だった。
 1979年から大きな道路を作るため、周辺にあった韓屋が多く撤去されてしまったが、今でもこの周辺には、昔ながらの下町の風景が残されている。
 今ではアーケードとなった通仁市場だが、過去の通仁市場は人がすれ違うのも難しいほどの狭い路地で、雨が降れば通路はどろどろになってしまう露天市場だった。10年前に市場を大きくリフォームしてアーケードも造られ、現在は市場の中の54店舗の商店と、芸術大学の学生たちが協力し、彫刻設置やお店ごとにその特徴を表現するディスプレイが展示され、かわいいインテリアが通仁市場により一層活気を呼び込んでいる。
 

おかずを自由に選んで食べてみよう!

 そんな通仁市場が最近大きな話題となっているのは、通仁市場の商人たちが運営するコミュニティがトシラク(弁当)カフェと呼ばれるシステムを作ったからだ。簡単にいえば「市場バイキング」だ。
 まず、市場の中央にある市場の顧客満足センターの2階にある「弁当カフェ」に行き、 市場で利用できる葉銭(ヨプチョン/韓国の昔のお金)を購入する。そして、空のお弁当箱をもらい、市場の中にある14ヵ所のおかず屋さんや、軽食店、餅屋などを自由に回って、好きな食べ物をお弁当箱に詰めてもらう。
 なんといっても、ここの魅力は安い料金で、たっぷりとおいしいおかずが楽しめることだ。市場のおかずたちは、多様な種類の野菜のナムルやチャプチェ、豚の煮付けや玉子焼きなどが一つまみで500ウォン、豚の辛い炒めものが二つまみやトンカツ1枚は2千ウォン程度だ。トッポッキ、スンデ、おでんなどの軽食も500ウォン分ずつ購入できる。
 このおかずが詰まった弁当箱を再び弁当カフェに持って行き、2千ウォンを支払うとご飯とスープ、キムチが購入できる。合計4~5千ウォンで、たっぷり一食を解決できる。
 なにより、今まで見るだけだった伝統市場でおかずを選んで食べる楽しみや、昔ながらの市場の人たちの人情を感じる、おかずの追加サービスなど、うれしい体験ができる。
 ここ、通仁市場は他の在来市場に比べておかずの店が多いため、このお弁当バイキングを充分に楽しめ、周辺の市場からもこのシステムを学びに訪れる人たちが増えているという。
 

 

54年間受け継がれた味、油トッポッキ

 弁当カフェの前には孝子洞(ヒョジャドン)昔トッポッキという店がある。店の主人であるチョン・ウォルソンさんは1954年から続くこの店をお母さんから引き継ぎ、今年で60年となる味を守っている。それが、ここ通仁市場でしか食べられないキルム(油)トッポッキだ。普段よく見かけるトッポッキは辛いソースで餅を炒めるが、この油トッポッキは、揚げた餅を醤油風味のソースで炒めたもの。これは昔、王様が食べた宮廷トッポッキの流れを汲むものだ。メニューは、醤油トッポキと粉トウガラシトッポッキで、昔ながらの味を感じることができる。ここで利用される唐辛子は、店の主人が自宅で栽培したそうで、安心して食べられる。
 この日、日本から来たという吉田さん一家は「この通仁市場は、他の市場に比べてきれいで見やすく、静かな中でゆったりと見物することができてとてもよかった」とその感想を語った。
 

Information

地下鉄3号線景福宮駅2番出口から徒歩10分ほど直進するとアーケードが見えてくる。人気の弁当カフェは午前11時から午後5時まで(月~土曜日)運営。
http://tonginmarket.co.kr
Pocket

関連する記事はこちら

경상북도_메인_주왕산

慶尚北道の冬を楽しむ5つのテーマ

慶尚北道の冬を楽しむ5つのテーマ 「冬がいい、慶尚北道がいい、慶尚北道冬の旅」    韓国東南部に位置する慶尚北道は、韓国内でも最も魅力的な観光地に数えられる。四季の美しい魅力を誇る自然をはじめ、慶州や安東に代表される歴史遺産、そして慶尚北道だからこそ味わえる珍味が満載…続きを読む

仏国寺

丸ごと楽しむ慶尚北道 ① 〈清道、慶州、浦項〉新羅の古都、柿ワイン、運河クルーズ

韓国の歴史観光のメッカといえば、慶州だ。三国時代の争いの歴史に終止符を打って統一を果たした新羅の都だったため、歴史的遺産が多く残っている。慶州だけではない。その周辺に魅力的なスポットが点在しているのが慶尚北道だ。その中でも慶州市、浦項市、清道郡を訪ねてみた。 文/町野山宏記者 &…続きを読む

메인_한국민속촌

朝鮮時代にタイムスリップ! 韓国民俗村

韓国の伝統美を五感で楽しむ伝統テーマパーク ヴィンテージな風景に出会うと、過去にタイムスリップしたような不思議な気分になる。韓国民俗村は韓国の伝統と文化を一ヵ所で見ることができる、まさにヴィンテージな野外民俗博物館。1974年にオープンしてからほぼ40年になる今でも韓国を代表する…続きを読む

平昌郡守

「2018冬季五輪開催の地・平昌、世界的リゾート観光聖地として跳躍」

Special Interview   「2018冬季五輪開催の地・平昌、 世界的リゾート観光聖地として跳躍」   沈在國・平昌郡郡守   ソウルから東に90分余り、仁川空港から出発すると、3時間で到着する天恵の観光都市、江原道がある。江原道のいたる…続きを読む

江原道知事

崔文旬・江原道知事と韓国在住オピニオンリーダー座談会

コリアトラベル新聞主催 崔文旬・江原道知事と韓国在住オピニオンリーダー座談会   2018年に平昌での冬季オリンピックを控えている江原道。これから多くの外国人が江原道を訪れることが予想されるが、そんな江原道をもっと知らせていこうと、崔文旬(チェ・ムンスン)江原道知事とコ…続きを読む

江原道海列車

事前に訪ねる江原道・名品旅行「Hello! 2018平昌」

韓流の聖地から歴史名所、ウィンタースポーツ体験まで… 旅行の白眉は江原道に!    心を休ませ、自分自身を振り返る非日常的な時間を過ごしたい。人々が旅行にかける素朴な動きだ。この願いにこの上なくふさわしいのが、他でもない韓国最高の清浄な自然観光地として名高い江原道だ。自…続きを読む

水原華城1

世界が感嘆した韓国的美学の精髄「水原華城」

世界が感嘆した韓国的美学の精髄 ユネスコ世界文化遺産「水原華城」  旅行を他の言葉で表現するとすれば、それは「発見」だ。今まで知らなかった世界に足を踏み入れると、その地の歴史と情緒に遭遇し、その発見を通して感動というプレゼントまでもらえるのだから、旅行ほどに価値のあるテーマはない…続きを読む

인천공항T2_메인

仁川空港第2旅客ターミナルを行く

見所も楽しみも満載 仁川空港第2旅客ターミナルを行く    出国のために急いで通り過ぎることの多い空間だが、ゆっくりと見て回ると観光地に劣らず楽しめるところ、それは空港だ。韓国旅行の玄関口である仁川国際空港も同様。特に、1月18日に新しくオープンした仁川空港第2旅客ター…続きを読む

東海岸圏経済自由区域01
東海岸圏経済自由区域02