仁川空港第2旅客ターミナルを行く

2018年06月12日

見所も楽しみも満載

仁川空港第2旅客ターミナルを行く

 

 出国のために急いで通り過ぎることの多い空間だが、ゆっくりと見て回ると観光地に劣らず楽しめるところ、それは空港だ。韓国旅行の玄関口である仁川国際空港も同様。特に、1月18日に新しくオープンした仁川空港第2旅客ターミナルは、まるで巨大なテーマパークのように見どころと楽しみが満載で、韓国旅行のとっておきのラストを飾るにぴったりだ。
文/池淑記者

 

인천공항T2_메인

 

仁川国際空港は韓国の関門となる空港だ。昨年は乗客6208万人、貨物292万トンを輸送し、今年1月の第2旅客ターミナルのオープンにより、年間旅客7200万人、貨物500万トンを輸送するメガ級のハブ空港となった。

新たにオープンした第2旅客ターミナルに配置されたのは、韓国国籍の大韓航空をはじめ、デルタ航空、エールフランス航空、KLMオランダ航空の4ヵ航空会社。これ以外の航空会社と格安航空会社などは、従来の第1旅客ターミナルでそのまま営業している。

そのため、新しい第2旅客ターミナルを利用したい旅行者は、大韓航空(KAL)または大韓航空とのコードシェア便を運航している日本航空(JAL)便を利用する必要があるが、それらの航空券を利用しなくても空港に少し早く到着して第2旅客ターミナルを訪問することもできるため、残念に思うことはない。

第1ターミナルと第2ターミナル間の移動も簡単。二つのターミナルを接続する無料シャトルバスが5分間隔で常時運行している。無料シャトルバスは、第1旅客ターミナル3階中央の8番出口の前から出発する。第2旅客ターミナル(中央4番出口)まで約15㎞の距離をノンストップでわずか15分で移動できる。無料シャトルバスのほか、空港鉄道を利用する方法もある。900ウォンの乗車券が必要だが、無料のシャトルバスよりも2倍早い6分で到達できる。

 

인천공항T2_서브01

 

森の中を歩いて巨大な現代美術作品を鑑賞

到着した第2旅客ターミナルは5階建ての壮大さと現代的なデザインを誇る。まるで巨大な未来の宇宙船を思わせる美しい曲線と第1旅客ターミナルより一層高くなったガラス構造の天井がさらにゆったりとした開放感を演出する。フロア構成は3階と4階が出発ロビー、1階と2階が到着ロビーに分かれており、地下1階はバスターミナルと鉄道の待合室、短期駐車場、フードコート、カプセルホテル、薬局などの施設が揃っている。

第2旅客ターミナルに入ると「公園の中の空港」というコンセプトのごとく、巨大な屋内庭園を思わせる景色が迎えてくれる。「第2旅客ターミナルは、造園面積を従来の第1旅客ターミナルの3倍近くに増やし、まるで室内庭園に来たような感じを与えるだろう」という仁川空港公社側の宣伝のとおり、どこへ行っても草木や花があふれている。

特に、交通センターの鉄道・バスの統合乗り場の上部1階の「エネルギーコア」と名づけられた空間が代表的だ。数種類のゴムの木を中心とした巨大な樹木の間にベンチと木の階段を配置しており、一時ながら森のリラックスした休息を満喫することができる。また、地下の交通センターから直接3階の出発ロビーに向かう人々が大部分であるため、「エネルギーコア」を歩いて訪ねる利用客が多くない点もポイントだ。騒がしい空港で意外にも人が少ない穴場的な場所なので、第2旅客ターミナルを旅行の目的地とする人たちだけが享受することができる空間だ。

屋内庭園のリラックスした感性を後にして、3階の出発ロビーに向かう空間は再び巨大な美術館に変身する。3階の出発ロビーを含めて第2旅客ターミナル空間のあちこちに設置された国内外の有名アーティストたちの芸術作品が目を楽しませてくれる。

第2旅客ターミナルに設置された美術作品は、搭乗客のみが出入りできる免税区域を含めて全部で16点が設置されており、一般の訪問客が入場できるエリアに6点の作品が展示されている。

一般エリアの代表的な作品は、東側と西側エスカレーター横、1階から4階までの吹き抜けの空間にそれぞれ設置された2点の大型モビール。高さ15m、幅10mの青いモビールで、フランスを代表する現代美術作家であるグザヴィエ・ヴェイヤン(Xavier Veilhan)の作品だ。モービルだけに空気の流れによって回転し、第2旅客ターミナルのガラスの天井と壁から入る光を反射して、様々な角度から多様な姿を見せる。エスカレーターに沿って設置されており、エスカレーターに乗りながら作品の様々な姿を鑑賞することができ、グザヴィエ・ヴェイヤンのファンなら注目するに値する。

 

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VR体験ゾーンで異色体験、広報展望台も人気

空港を代表する見所となる展望台も見逃せない。第2旅客ターミナル5階に行くと、多くの飛行機が行きかう係留場を眺望する広報展望台があり、断然必須コースだ。展望台の入り口から目をひきつける。廊下に沿って華やかな空港広報映像が上映され、きらびやかな照明が映写幕の外まで広がっていく廊下を歩くと、まるで広報映像の中に吸い込まれていくような異彩な経験ができる。

広報展望台は、一般的な展望台とは違って係留場を眺望するため、ダイナミックな離着陸は見られない。しかし、「広報展望台」というその名の通り、最新設備の仁川空港第2旅客ターミナルの多彩な面をみることができる。何よりも、最先端の技術を取り入れたスマートアトラクションのVR体験ゾーンが魅力的だ。

VR体験ゾーンでは、仮想現実(VR)によって仁川空港のシステムを体験することができる。チェックインカウンターに預けた旅行者の荷物がどんな経路を通って飛行機に載せられて戻ってくるのかを、観客が自らスーツケースになって仮想現実を体験するのだ。椅子に座ってVR専用機器を被ると、自分がスーツケースになって主人の手に引かれていき、預けられた後にコンベアベルトに乗って移動する小さな旅を体験するが、荷物が動くたびに椅子がごとごとと揺れてリアルだ。

記念写真を残したい人には「タイムスライスフォトゾーン」がお勧め。仁川空港を背景に全部で15台のカメラで立体的に撮影して、ジャンプをしたり、モーションやアクションをとると、まるで映画「マトリックス」の主人公のような迫力あふれる写真を手に入れることができる。写真は撮影を終えた後、本人のEメールで伝送される。

広報展望台内には小さなカフェもあり、展望台の反対側の広報スペースには、仁川空港の大型地図やモデル、空港の足跡などの展示があり、見所の一つとなっている。

 

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ミシュランシェフ韓国料理など40店が入店、味覚の誘惑

旅行にはグルメが欠かせない。仁川空港第2旅客ターミナルには、ソウルはもちろん、韓国全域の人気グルメ40店余りが入店して美食家たちを誘惑する。

レストランは、ターミナル地下1階交通センター側のフードコートを中心に密集している。メニューも豊富だ。昨年、ソウルに上陸して行列をなしたニューヨーク式プレミアム手作りバーガー専門店であるシェイクシャック(SHAKE SHACK | 交通センター地下1階中央)をはじめ、大邱の人気ベーカリーで全国的に有名となったサムソンパンチプ(1階A到着ロビー)、釜山名物かまぼこ専門店で60年の歴史を誇るサムジンオムク(交通センター地下2階中央)、そしてミシュラン2つ星の韓国料理シェフであるイム・ジョンシクさんが「外国人旅行者を感動させる新しい韓国料理」をコンセプトに、仁川空港にローンチした韓国料理レストランの「平和屋」(旅客ターミナル4階一般区域中央)などが並んでおり、韓国旅行の感動的な最後の一食にぴったりだ。

一般のレストランのほか、交通センター地下1階の中央に、韓国の人気フランチャイズが多数入店し、大型フードコートもあるため、様々なグルメを期待するならフードコードまで利用してもいいだろう。

 

Information

仁川空港第2旅客ターミナルまでは、仁川空港鉄道の第2旅客ターミナル駅で下車するか、空港リムジンバスを利用して第2旅客ターミナルで下車。第1旅客ターミナルと第2ターミナルを15分で連結する無料シャトルバスが5分間隔で運行(第1旅客ターミナル3階中央8番出口前停留所 – 第2旅客ターミナル中央4番出口前停留所)しており、どのターミナルを利用しても便利な往来が可能だ。 | www.airport.kr

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