近代の面影を巡り、新鮮な刺身に舌鼓を打つ…木浦は港だ

2019年06月07日

1200x1_1517274865 韓国で近代遺産が多く残るところがいくつかある。仁川や群山は有名で、日本人や西洋人たちが建てた近代建築が街のあちらこちらに残っている。仁川と群山に共通するのは港湾都市として発展したということだ。多くの人と物資が行きかう場所として栄えたわけだ。そしてもう一ヵ所、忘れてはならない港湾都市がある。全羅南道の木浦だ。長崎と上海の中間地点にあるため、国際的にも注目を浴びた木浦港は、島に囲まれた天然の良港でもある。日本統治時代には米や綿花などが運びだされ、韓国人にとっては痛みの場所ではあるが、昔の情緒が残る木浦の旧市街は若い人たちがカメラを持って訪れる人気の街歩きスポットとなっている。KTX湖南線の最南端、木浦を訪ねてみよう。

文/町野山宏記者

 

木浦で最もよく知られている近代建築は、儒達山(ユダルサン)の山すそに建つレンガ造りの建物、木浦近代歴史館だ。1899年に木浦日本領事館として建てられたこの建物は、木浦市を一望できる見晴らしのいい場所にある。木浦の近代史をずっと見下ろしてきた建物だ。ルネサンス様式の建物で、大阪から運んできたレンガと水色に塗られた木造部分が調和して美しい。

1897年、朝鮮が開港してから木浦は外国人居留地として指定され、泥地が埋め立てられて市街地が形成された。日本、ロシア、イギリスなどが利権をめぐって対立した末に日本が掌握し、1910年の日韓併合後は米と綿花の積出港となってきた。木浦日本領事館は解放後は木浦市庁、木浦市立図書館、木浦文化院として使われた後、近代歴史館1館として使われている。

 

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旧領事館の建物の裏には、日本軍第150師団司令部が米軍の空襲に備えて掘った防空壕が残っている。終戦間近な時期につくられたものと推測されている。儒達山の山すそに掘った全長85mの洞窟で、日本軍が韓国人を動員して掘らせる場面が再現されており、心痛い。木浦にはこの他にも多くの防空壕が発見されており、当時の緊迫した様子を今に伝えている。

木浦近代歴史館2館として使われている建物も日本によって建てられた近代建築だ。1921年に建てられた東洋拓殖株式会社木浦支店で、ルネサンス様式の石造2階建ての建物だ。東洋拓殖の主な業務は土地の買収で、木浦支店では17ヵ所の農場を管理しており、全国の東洋拓殖で最も多額の小作料を取り立てていたという。近代歴史館として主に日本統治時代の写真を展示しているが、残酷な場面の写真が多いため、観覧には注意が必要だ。

木浦近代歴史館2館の周辺は、日本統治時代には「南村」と呼ばれ、日本人が多く住んでいた地域で、日本家屋がところどころに残っているのが見られる。また、儒達初等学校の敷地内には、木浦公立尋常小学校の講堂が残されている。「五差路文化センター」となっている建物は、日本統治時代に建てられた東本願寺だった。東本願寺を建てた西山覚流という人物は、韓国居留日本人の教育に力を注ぎ、木浦公立尋常小学校を建てた。東本願寺の建物は解放後に韓国の寺院となったが、その後、教会の建物として使われたというエピソードも興味深い。

 

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おしゃれなカフェに海産物、木浦の極上グルメ

韓国に旅行に来る人たちの人気コンテンツの一つがカフェ。木浦にもインスタ映えするカフェがたくさんできている。特に木浦の町のレトロな雰囲気にぴったりのカフェが多い。

まず、先に紹介した木浦近代歴史館2館となっている元・東洋拓殖株式会社木浦支店の前には「幸せあふれる家(ヘンボギカドゥカンチプ)」と名づけられたカフェがある。1930年に東洋拓殖株式会社の社宅として建てられた立派な日本式家屋を改造したカフェで、解放後にナ・サンス氏が買収したということで「旧・ナサンス家屋」という別名で呼ばれている。カフェの中はレトロな雰囲気で飾られており、それだけで充分楽しめる。また小さな部屋がいくつもあり、プライベートで静かな時間が過ごせる。

また、そこから少し北に上がったところには「ガビ1935」というカフェがある。ガビとはコーヒーのことで、朝鮮末期に韓国にコーヒーが初めて伝えられた時はそう呼ばれていたという。1925年に日本人によって建てられ、1935年に登録された木造家屋を改造したカフェということで、SNSなどで有名になった。

木浦には韓国の5大パン屋の一つである「コロンバン製菓」があり、木浦に来たら買っていくべきもののリストに上がるパン屋だ。多彩なパンを売っているが、代表メニューはクリームチーズバゲットとシュリンプバゲット。2階はカフェスペースとなっており、買ったパンをその場で食べられるようにもなっている。

そして、何より木浦の名物といえば、新鮮な海産物だ。港町であるだけに、木浦市が指定した「木浦9味」もすべて海産物。一品でも食べておかないと後悔するだろう。「木浦9味」は、セバルナクチ(テナガダコ)、ホンオ(ガンギエイ)、ミノ(ニベの一種)カニの唐辛子漬け、タチウオの煮付け、マナガツオの刺身、ヒラの唐辛子漬け、アンコウ鍋、ヨロイメバル鍋。その中でもミノは、他の地域ではなかなか味わえない一品。昔は高級魚として庶民が食べることができなかったという。甘みがあって食感のよい刺身も絶品だが、皮や浮き袋、ヒレまでおいしく食べられるのが木浦式。唐辛子漬けやジョン、鍋としてもおいしい。

 

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昼も夜も気軽に木浦巡り、シティーツアー

木浦の代表的な観光地を楽に巡るシティツアーも運営されている。木浦駅を出発して、旧東本願寺、近代歴史館、木浦津、木浦子供海科学館、金大中ノーベル平和賞記念館、カッパウィなどを巡るツアーで、月曜日を除く毎日運行されている。午前9時半に出発して15時40分に終了する。
また昼とはまったく違った表情を見せる夜の木浦を楽しむ「木浦夜景シティツアー」も運行されている。期間限定で4月5日から11月30日まで運行される。

コースは、木浦駅を出発して、光の通り、木浦大橋、儒建山、三鶴島、カッパウィ、踊る海噴水、出会いの滝などを回って木浦駅に帰ってくる。港町である木浦ならではの海に面した場所を回るコースで、儒達山やカッパウィなどの名所がライトアップされ、光の通りや出会いの滝などでは華やかなイルミネーションが幻想的な風景を演出する。夜景ツアーは毎週金・土曜日の19時(6~8月は19時半)に出発し、7~8月には日・月曜日を除いて毎日運行される。たくさんの魅力を持った木浦を夜まで楽しめるとっておきのプログラムだ。

Information

木浦まではソウル駅からKTXが運行しており、約2時間半で到着する。木浦シティツアーの料金は昼・夜共に大人5千ウォン(博物館等の入場料、食費は除く)。木浦文化観光サイト(http://www.mokpo.go.kr/tour/citytour/reservation)でオンライン予約ができ、空席がある場合は現場での申し込みも可能だ。
http://www.mokpo.go.kr/tour

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