<インタビュー> 忠清南道 扶餘郡守 李龍雨

2015年08月26日

扶餘郡守百済の都、扶餘郡を
歴史・文化・観光・エコが
調和した観光地に

 

Interview

忠清南道 扶餘郡守 李龍雨

 

 1500年前の百済の都が世界遺産に登録されることによって、世界の注目を浴びている。忠清南道と全羅北道にまたがる遺跡地区の8ヵ遺跡のうち、4つを保有する扶餘郡は、百済時代、泗沘と呼ばれる都があったところだ。歴史的な遺産はもちろん、さまざまな見所があふれる扶餘郡の魅力について、李龍雨郡守に訊いてみた。

文/町野山宏記者

 

Q.まず最初に、扶餘郡について紹介してください。

高麗の学者・金富軾(キム・ブシク)は「三国史記」の中で、百済の文化を「儉而不陋 華而不侈」と表現しました。「質素でありながらみすぼらしくはなく、華やかでありながらおごることのない」という意味ですが、扶餘郡は、そのような文化のDNAを持つ百済の古都です。

123年間、百済の都であった扶餘の泗沘城は、錦江と山に囲まれて防御に有利であり、九龍平野などの広い平野があり、経済的にも豊かなところでした。また南北をS字型に貫通する錦江を利用して西海へ進出することができる利点を持っていたたため、古代東アジアのさまざまな国との交易が活発な海洋国家でもありました。

千年の日と月を送ってきた扶蘇山城と白馬江、そして落花岩、長い年月を共にしてきた定林寺の五層石塔、百済人の造形芸術を感じることができる国宝第287号の百済金銅大香炉をはじめとする国宝4点などの文化財237点を保有しています。

特に、今年7月4日、ドイツのボンで百済歴史遺跡地区が世界遺産に登録され、その価値がより高まりました。世界の皆さんが鑑賞し、保存すべき共同の財産として認められたのです。

これからは、世界遺産と観光産業をマッチングさせて、地域経済の発展のなすべき宿題が残っています。郡民と共に考えて知恵を集める所存です。

 

Q.扶餘郡の観光政策について教えてください。

今回、百済歴史遺跡地区が世界遺産に登録されましたが、それらの文化遺跡と観光産業をマッチングさせる作業が最も必要とされています。エコツーリズムまで拡張して、より多角的に方法を探していくことが必要だと考えています。国内の舞台だけの「井の中の蛙」的な立場から脱し、世界的な観光政策システムを充実させることが重要です。

慶州が2000年度に世界遺産に登録されてから観光客が増えましたが、その後、観光客数が減少したところもあります。単に観光をするだけの形態は衰退するしかないのです。そのため、今回共に登録された公州と益山地域とも連結されなければならないし、祭りや他の観光地や文化コンテンツと連結してこそ、継続して観光客の増加を計ることができます。そのためのさまざまな準備をしています。

主人の立場ではなく、観光客の立場から見て考え、観光政策をつくっていく予定です。自分の家で家族と共に過ごすように時間を送れるよう、宿泊やレジャーなどの施設を整えることが必要です。

歴史と伝統を基本概念として、その上に観光産業を連結させて、地域経済を活性化させるというのが基本的な骨子です。歴史・文化・観光・エコが調和した観光地となるよう努力しています。

 

Q.日本をはじめとする外国人観光客の誘致のための対策について教えてください。

清州国際空港の日本への開港を推進しています。忠清北道清州市にある清州国際空港と日本との便を開くことによって、日本から扶餘へのアクセスが格段によくなります。また、忠清南道の保寧から扶餘、公州、鳥致院を結ぶ東西文化鉄道も計画されており、鉄道を利用したアクセスも改善する予定です。

世界遺産をはじめとする文化遺産の活用はもちろんですが、エコツーリズム、ショッピング観光まで拡大すべき時点に来ています。持続的な観光ルートの開発が先決要件となりますが、そのためには宿泊施設とレジャー施設が必要です。ロッテ扶餘リゾートがありますが、週末になれば部屋が足りない状況です。そのため、7月24日に白馬江のほとりにキャラバン場をオープンします。高級ホテルのような24台のキャラバンで宿泊ができます。また、水上レジャー施設を備えた親水区域リバーサイドホテルを誘致する計画を立てています。

また、扶餘邑クドゥレ一帯に25000㎡規模の「クドゥレ歴史村」を造成する計画を立てています。扶餘の伝統文化を体験できるように、韓方韓屋、伝統市場、百済庭園など、韓屋体験施設と市場で構成された歴史村で、歴史と体験を楽しめる公園にする予定です。

百済は東アジアの国々を様々な交流をしていましたが、中国の洛陽と姉妹都市となっています。洛陽は昔の唐の首都だったところですから、百済を滅ぼした敵なわけですが、古代の敵同士が現代になって姉妹都市になったわけです。百済の義慈王が洛陽で死んで、そこに墓があるということで探したことがあります。墓は結局見つかりませんでしたが、それを契機に洛陽と20年間、文化・芸術・農業などの交流を行いました。

昨年は、羅唐連合軍と百済・倭の連合軍が戦った白村江の戦いで亡くなった人たちの慰霊祭を行いました。洛陽と大宰府、慶州から代表団を招いて行い、中国や日本ですばらしい公演をしてくれました。百済歴史遺跡地区が世界遺産に登録されたのも、そのような意味があるのです。当時の国家間の交流によって生まれた国、そしてその文化を百済式に発展させた文化、それを普遍的な価値として認められたわけです。

 

宮南池と白馬江

 

Q.「グットゥレ」というブランドについて紹介してください。

扶餘郡は、白馬江に面した肥沃で清浄な土地であり、農産物も有名です。プチトマト、スイカ、栗、しいたけ、マッシュルームは全国一の生産量を誇り、きゅうり、メロン、イチゴ、なども有名です。これらの農産物を扶餘8味とし、「グットゥレ」というブランド名を付けて、韓国国内はもちろん、海外にも輸出しています。「グットゥレ」とは豊かな良い(good)土地(韓国語でトゥル)で採れた農産物という意味で、扶餘の豊かな土地から採れた最高の製品に付けられるブランド名です。これは韓国の国家ブランド賞を4回受賞しました。それだけ消費者から信頼を得ているブランドなのです。

このほかにも扶餘郡のグルメを紹介すると、最も有名なのが蓮の葉ご飯です。栗、なつめ、松の実などともち米を蓮の葉にくるんで蒸したもので、蓮特有のいい香りが楽しめるのが魅力です。

うなぎも名産物の一つです。白馬江で獲れたうなぎもおいしいですが、オランダから学んだ方法で、抗生剤を使わず、特別な飼料と水で飼育したうなぎがまた違った格別な味です。

グットゥレ8味の農産物を料理した「グットゥレ8味定食」もぜひ味わっていただきたい料理の一つです。さまざまな野菜を味わえる「トルサムバプ」も扶餘が誇る郷土料理です。飲み続けていくと老化防止の効果があり、白髪も黒くなるといわれる「蓮の葉茶」も人気です。

 

Q.歴史に疎い人でも楽しめる祭りがあると聞きましたが?

扶餘郡を代表する祭りには「百済文化祭」と「扶餘薯童蓮の花祭り」があります。韓国の文化体育部の優秀祭りに指定された「薯童蓮の花祭り」は、韓国で最初の人工池である「宮南池」と、一千万本の蓮の香りが漂う薯童公園で、毎年7月中旬に行われています。愛と浪漫をテーマにしたさまざまな公演や、蓮の花に関する展示を行っています。薯童公園の蓮団地には約50種類の蓮が植えられており、蓮のほかにも多くの水生植物や野生の花が咲き乱れる姿を満喫できます。

「百済文化祭」は百済の歴史を現代的に表現した祭りで、今年で61回を迎えます。今までの60年が百済歴史の根を探し、アイデンティティーを確立してきたとすれば、これからはより創造的に新しい息吹を吹き込む時点に来ています。

そのため、これまで郊外で行ってきた枠を抜け出し、市内に会場を移しました。定林寺趾、扶蘇城、官北里遺跡などを連携して行う予定です。歴史の現場で行うことによって、遺産を見学しながら文化を体験できるようにするのです。

 

Q.最後に日本の読者の皆さんにメッセージをお願いします。

世界遺産地区は遺産だけあるのではなく、自然・遺跡・人が共存する生活の場にしなければなりません。そうしてこそ人が訪ねてくると考えます。遺跡だけがあっても何の意味もないのです。特に扶餘の世界遺産である、官北里遺跡、扶蘇山城、定林寺址、陵山里遺跡は自然と共にある遺跡であり、人に向かっている遺跡であるため、自然と遺跡と人が共に織り成す場をつくっていきたいと思います。日本の観光客の皆さんの訪問をお待ちしています。

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