韓国の春を満喫したいなら?
カラフル都市「大邱市」に会いに行こう!!
時間をかけて少しずつやってくる日本の春と違い、韓国の春はその到来もダイナミックだ。グレーだった景色が、ある日突然ピンクや黄色に染まりだし、辛い寒さを味わった冬を一度に忘れさせてくれるパワーがある。そんな韓国の春が満喫できる名所として、韓国の東南に位置する「大邱市」が、春の魅力を実感できる場所だ。大邱市のキャッチフレーズ「カラフル大邱」が語るように、ソウルのような現代的な都心の姿に加え、韓国伝統の歴史がそのまま残されるうれしい二重性を持つ見どころは異彩を放つ。個性的な旅行先を求める人たちの感性を誘惑する大邱市を歩いてみよう。
文/李相直記者
大邱を代表する春のスポットを巡る
季節の女王・春を迎えた大邱の祭りのテーマは断然、「桜」だ。韓国の南部圏にあるだけに、釜山の次に春が早く訪れ、4月中旬には大邱市一帯は桜の花でいっぱいになる。
代表的な祭りは、大邱を代表する名山・八公山(パルゴンサン)の桜祭りとEワールドの桜祭り。
八公山桜祭りは、毎年4月中旬、東区龍水(ヨンス)洞の八公山桐華地区の噴水広場を中心に行われる。
八公山にある桐華寺は、韓国の伝統仏教建築を吟味できることに加え、4月になると寺院内が桜でピンクに染まり美しく、体験できるイベントも多い。禅体験館では東洋文化の精髄である禅の体験をすることができ、聖宝博物館で遺物も観覧し、博物館の隣の茶屋では韓国スタイルの茶道まで楽しむことができるため、韓国の伝統を体験するにはぴったりだ。
八公山の桜の名所は、東区不老(プルロ)洞から桐華寺の隣の桐華地区まで続く桜のトンネルだ。満開の桜に加え、桜歌謡祭、春の山菜ビビンバ祭りなど多彩なサブイベントが行われる。祭り会場周辺には、八公山のセリチヂミ、レンコンチヂミ、トトリムク、ドンドン酒などの郷土料理が味わえる料理コーナーもある。
大邱の都心で桜祭りを楽しみたい人は、アトラクションテーマパーク「Eワールド」で3月20日から開催されるEワールド桜祭りがぴったりだ。
Eワールドは韓国を代表する桜の名所であるソウル汝矣島の輪中路の3倍にもなる桜に覆われた頭流山(トゥリュサン)一帯にある桜の名所。テーマパークを楽しみながら、桜まで楽しめる恋人たちの春のデートコースとして人気の場所となる。
アトラクションもたっぷりだ。祭りの期間中、パーク内の頭流公園一帯を巡回するコッキリ列車を特別運行し、830万個の電球で作った「ルミナリエ」も加わって、夜桜まで楽しめる。
桜の次には、韓国の山を華やかなピンク色に染める琵瑟山のツツジ祭りが待っている。大邱市達城(タルソン)郡と慶尚北道清道(チョンド)郡にまたがる琵瑟山(ビスルサン、1084メートル)は、秋はすすきの名所として知られている場所。しかし春はカラムラサキツツジ(チンダルレ)が主人公となる。琵瑟山の大見峰(テギョンボン)と照華峰(チョファボン)の稜線に沿ってツツジが広がっており、花を開かせる4月下旬となれば山頭が桃色に染まる。
ツツジ群落地までは登山コースに沿って2~3時間ほど登らなければならない。傾斜は険しいものの、頂上に到着すればまるで絵画のような風景と、ツツジの優しい香りが疲れた心身を軽くしてくれる。
このツツジが美しい時期に合わせてツツジ祭りが行われる。一昨年までは山の中腹ですべての行事が行われたが、昨年からは麓の大邱テクノポリスでイベントが行われるようになった。行事では歌謡祭などの家族行事やツツジ迷路園・フォトゾーン・ツツジ馬車など、見どころが満載だ。
韓国の伝統遺産を楽しんでみよう
春の景色と共に大邱の歴史的名所を楽しんでみたい。韓方の魅力を発見できる大邱薬令市通りがその一つだ。約400年の伝統を持つ韓方薬供給の中心地で、600mの通りの両側に、韓薬房、薬業士、医院、高麗人参茶、薬茶屋など400余りの韓方店が集まっている。「息をするだけでも健康になる」という話があるほどの、韓国を代表する最大・最高の韓方通りだ。
通りに立ち並ぶ韓方関連の薬剤商や商店を見るのも楽しいが、大邱薬令市を深く理解したい人なら薬令市韓医学博物館を訪れるのがよいだろう。大邱薬令市は、朝鮮時代から始まった全国的に有名な韓方薬市場で、全盛期は日本や中国にまでその名をとどろかせた。韓医学博物館では、このような大邱薬令市の歴史と韓薬房が並ぶヤクジョン通りの由来、韓方薬の材料などの展示はもちろん、体験スペースでは、韓方に基づいた健康チェックや韓方足湯体験まで楽しめる。
大邱薬令市をさらに楽しむには、4月15日~19日に行われる薬令市韓方文化祭りに合わせて訪れるのが最高だ。韓薬の屋台が立ち並び、無料での健康チェックや鍼の体験などのイベントも行われるからだ。
韓国内でたった1ヵ所しかない独特な博物館にもここ大邱で出会うことができる。大邱国際空港から車で10分ほどの距離に位置した方字鍮器(パンチャユギ)博物館がそれだ。方字鍮器とは、銅と錫を共に溶かした合金を鍛打、あるいは鋳造してつくった韓国伝統器。方字鍮器博物館では、黄色く光る方字鍮器1500点余りとその歴史などを詳しく見ることができる。博物館の前の売店では方字鍮器を販売しているため、大邱旅行の記念品を方字鍮器にするのもいいかもしれない。
大邱の中の日本の痕跡に観光客が注目
大邱を訪れた日本人観光客ならば、大邱と日本の格別の縁を大切にしている名所もぜひ訪ねたい。大邱市内の中心部に位置する寿城池(スソンモッ)がその一つだ。
大邱を代表する水辺公園である寿城池は、日本統治時代だった1914年、日本から開拓農民として韓国に渡り、大邱に定着した水崎林太郎が私財を投じて造った所だ。
当時、大邱は厳しい干ばつと洪水で被害が少なくなかった。苦しむ韓国人農民のために水崎は、「韓国人に恩恵を施す必要はない」という周囲の日本人たちの反対にもかかわらず、私財を投じて寿城池築造に乗り出した。そんな水崎の善行に、大邱の人たちは植民地時代というつらい時期だったにもかかわらず、水崎に惜しみない尊敬を送った。1939年に亡くなる前に水崎は「寿城池を見下ろせる所に、韓国式の墓に埋めてくれ」という遺言を残し、彼の遺言どおり、池を見下ろす南の丘に墓が造成された。彼を称える追悼式は今でも毎年大邱市民の志を集めて開催されている。
寿城池は日本と韓国の友好を象徴する歴史的な意味を持つ観光名所だが、楽しみも盛りだくさんだ。5月からは、1日に2回、寿城池の真ん中に設置された噴水が、音楽と共に美しい噴水ショーを披露する。夜には美しい照明まで加わり、大邱の華やかな夜景が楽しめる。
大邱の中心地から少し離れたところに位置する鹿洞書院(ノクトンソウォン)にある韓日友好館も、大邱と日本の深い縁を知るところとして見逃せない。鹿洞書院は壬辰倭乱(文禄・慶長の役)当時、日本の武将として戦争に参戦したが、「朝鮮侵略は大義に反する」という理由で朝鮮に帰化した金忠善(キム・チュンソン/1571~1642年)将軍の位牌を祀ったところだ。
鹿洞書院内にある韓日友好館は、金忠善将軍に関する記録や、韓国と日本の交流の記録を伝えるとっておきの空間。日本と韓国の鎧をそれぞれ着て堂々と立つ金忠善将軍の蝋人形をはじめ、将軍の生涯をたどる展示物でいっぱいだ。
注目すべき展示物は、金忠善将軍が残した文集である「慕夏堂文集」だ。祖国日本に背いたことに対する悲しみと苦悩、そして海の向こうの故郷に対する恋しさが切々と綴られている。
韓日友好館という名のごとく、日本と韓国の友好と交流を象徴する体験プログラムも準備されている。日本式でつくられた庭園を眺める所に伝統礼節室があり、毎週土曜日には日本と韓国両国の伝統衣服を着てお互いの国の伝統を体験することができる。
韓国土産を探すなら! 大邱在来市場&免税店
旅行の楽しみは何といってもショッピングが欠かせない。大邱の中心部では西門(ソムン)市場が有名だ。朝鮮時代の中期から形成された西門市場は、大邱城郭の西側に位置していることから西門市場と呼ばれるようになった。
8つに分かれた区域内に4千余りの店舗が入っている巨大な常設市場で、衣類関連の店が多いことで韓国第一だといわれる。特に、400店余りが密集した韓服売り場は、韓服の魅力を堪能できるため、「通りの韓服博物館」と呼ばれるほどだ。海外旅行先で行うショッピングは免税店やデパートが便利だが、大邱らしくて韓国的なショッピングを求める個性派ならば、ここ西門市場で一風変わった思い出話が作れるはず。
ブランド品のショッピングを望む女性なら、大邱地域で初の市内免税店である「グランドホテル免税店」を記憶しておこう。この免税店は、大邱市寿城区泛魚洞にあるグランドホテルの別館にあり、室内面積は1392㎡規模。店内を見ると1〜2階は、海外ブランドショップ、3階は、海外と国内ブランド館となっていて海外観光客が好むブランドが集められ、4階はカフェテリアで構成されている。
化粧品・バッグ・時計・アクセサリー・メガネ・タバコ・酒類・高麗人参類など、さまざまな項目が販売されており、特に化粧品は、韓国の有名なブランドが一同に集められているので、ショッピングが手軽にできてうれしい。
営業時間は午前11時から午後8時30分までで、年中無休で運営、外国人団体観光客の要求に応じて営業時間外の特別営業も可能だ。
4月12日には都市鉄道3号線のモノレールが開通する予定となっており、大邱旅行がより便利に、楽しくなる。この春、新しくなった大邱をぜひ訪れてみよう。
Information
大邱市まではソウル駅から東大邱駅までKTX を利用すると便利だ。所要時間は1 時間50 分。外国人観光客のためのコールセンターもあり、☎+82-53-1330 で日本語問い合わせが可能だ。また、3月30日から関西空港と大邱空港間の定期便が週5便運行される。関西空港からは月・水・金・日の13:20出発(日曜日は18:50発の2便)と、大邱空港からも月・水・金・日の11:00出発(日曜日は16:30発の2便)が運行。その他大邱市に関する詳しい旅行情報や宿泊情報は、http://tour.daegu.go.kr/jap またはhttp://www.daegutravel.or.kr/jtour で提供されている。
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