韓国33観音聖地をめぐる「私探しの旅」~東南圏~

2015年12月21日

韓国33観音聖地をめぐる「私探しの旅」~東南圏~

 

ありふれた韓国旅行ではない癒しの旅行を求める人たちに、お勧めしたいのが「韓国33観音聖地をめぐる旅」だ。1700年の歴史を誇る韓国の仏教文化は、同じ仏教文化圏の日本のそれとはまた赴きが違い、色鮮やかながらも、素朴なものが多い。寺院の多くが奥深い山の中にあるため、山の霊気も感じることができる。そんな古刹・名刹の中で本尊が観音菩薩である寺院の中から厳選された「韓の国33観音聖地」を一つひとつ巡回することにより、心に安らぎを感じると共に、韓国の隠された美しさも同時に発見できる旅となる。一度に巡るには広範囲にわたるため、4つのエリアに分けてその魅力を把握した後、自分探しの旅へと出かけよう。
文/大成直子

梵魚寺

静かな森と世界遺産の寺院と出会う

 

韓国の東南地域にあたるこの地域には、新羅の芸術が息づき、ユネスコ世界遺産にも選ばれた古刹や、韓国仏教の3つの宝を持つ古刹がある。華麗な仏教文化を鑑賞しに出かけてみよう。

まずは、慶尚南道・梁山(ヤンサン)市にある三宝寺院の中の一つ、通度寺(トンドサ)へと向かうことから始めよう。646年に、慈蔵律師が唐から仏陀の袈裟と舎利を持ち帰り、それを奉るために創建した寺であることから仏宝寺院と呼ばれるここは、仏様の御言葉(法)を奉る法宝寺院である海印寺と、国師を16名も創出した僧宝寺院である広松寺と共に、三宝寺院とされる。現存する建物は文禄の役当時に大部分の殿閣が焼失した後、1601年と1641年の2回にわたって修復して今日に至っているもので、広大な境内にある建物のほとんどが重要文化財として指定されている。ここ通度寺の一番の見所となる大雄殿もやはり年月を感じさせる木造建築だが、中には仏像の姿が見られず、代わりに巨大で華麗な仏壇が安置されている。それは、仏陀の袈裟と舎利が安置された金剛戒壇が大雄殿の後方にあるためだ。金剛戒壇の敷地内に入ると、中央部分に石鐘型の舎利塔が奉安されている。

次は、法宝寺刹と呼ばれる海印寺(ヘインサ)へと向かう。ここには、世界記録遺産として認定された「八万大蔵経」が収蔵されており、仏教で一番尊いとされる三つの宝を持つ寺院のうち、法の宝を祀る寺院として選ばれたところだ。

この八万大蔵経とは、文字通り全8万1258枚にもなるお経が刻まれた版木のことで、1236年から16年間にかけて作られたものの、誤字脱字の少なさや、彫られた文字の高い水準で均一された精度は現代の人たちをも感嘆させるものだ。境内の中で一番高い場所にある、八万大蔵経を保管する「蔵経板殿」は、1488年に建築されてから一度も火災や戦乱の被害を受けず、八万大蔵経を保管してきた。750年以上もの年月を木製の経板が良好な状態を保ち続けることは現在の技術を駆使しても難しいとされるなど、保管技術が優れていることから世界文化遺産として認められたといえる。

 

新羅の仏教文化を感じる

世界遺産に輝くもう一ヵ所の寺院にも足を運ぼう。韓国を代表する文化遺産の都市・慶州(キョンジュ)にあり、その中で欠かせない観光地として挙げられるのが仏国寺(プルグクサ)だ。1995年にソウルの宗廟、慶南の海印寺の八万大蔵経と共に、ユネスコ世界遺産に登録されたここは、新羅時代の芸術技法が駆使された建築物の宝庫だ。

仏の世界である仏国土を現世に再現することを目的として建設したとされ、西暦528年に創建された後、751年に塔と石橋なども造られたといわれる。その後、文禄慶長の役で大半が焼失し、現在の姿は朝鮮時代後期に復元したものがほとんどだが、境内には新羅仏教芸術の特徴でもある石造建築が数多く残されており、新羅時代の理想郷を見出すことができる。ここ仏国寺は通常の他の寺院とは違った、とても独特の建築的な特徴を持つ寺院だ。その特徴の中の一つは、大雄殿、極楽殿、観音殿、昆盧殿、羅漢殿の大きく五つの仏殿からなっており、これらが広い境内に分散されず一ヵ所に集められているところだ。それぞれ彼岸世界、極楽世界、蓮華蔵世界の3つの世界を表現するため、時間をかけて回ってみたい。

最後に新羅時代の寺院をもう一ヵ所巡ろう。韓国第2の都市、釜山。中心部から北方面に離れた金井山(クムジョンサン)の中腹の梵魚寺(ポモサ)がそうだ。どの寺院にも、訪問者を迎える一柱門があるが、梵魚寺の一柱門はよく見るその姿とは大きく違う。一列に並んだ4つの太くて丸い礎石の上に柱を立て、立派な屋根が組まれているが、これは宝物(1461号)として文化財に指定されている立派な宝物だ。この門は梵魚寺が重建された1614年に建てられたが、その後数回にわたる重修を経て1781年に現在の姿となったが、セメント等の接着剤が使われていないものの、台風などにも飛ばされず現在の姿を保つ。

ここ梵魚寺は新羅時代の678年(文武王18年)に海洋華厳宗の開祖である義湘大師が創建し、華厳十刹の一つとして創建され、幾度かの焼失と改築を繰り返しながらも、海印寺、通度寺とともに慶尚道の3大寺刹として嶺南仏教の中心となってきたところだ。釜山を代表する山にあることから、外国からの侵略に備え、護国寺院としての役割を果たしながら歴史に大きな影響を与えた寺院だ。

 

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