百済の都が目の前に出現! 百済文化団地

2019年08月28日

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2015年7月4日、忠清南道の公州(コンジュ)市、扶余(プヨ)郡、全羅北道の益山(イクサン)市にある百済時代の遺跡がユネスコ世界遺産に登録された。1500年前の王国の栄枯盛衰を今に見せてくれる貴重な遺跡だが、目に見えるものは山城とわずかな塔、盗掘された後の古墳が残るばかりだ。「址」から当時の様子を想像するしかない物足りなさを感じていたのは事実だが、それも昔の話。失われた百済の都を現実のものとしてよみがえらせたテーマパーク「百済文化団地」が、かつて泗沘(サビ)と呼ばれた扶余郡に現れた。
文/町野山宏記者

 

능사5층목탑扶余郡窺岩面(キュアムミョン)合井里(ハプチョンニ)に位置する百済文化団地は、百済歴史文化を世界に紹介するために造成されたアジア最大の歴史テーマパーク。泗沘城を中心に、三国時代の重要な軸をなす、輝かしい文化の花を咲かせた百済の遺産を見せてくれるだけでなく、百済​​時代をしのぶ体験や公演、そして旅行者にはうれしいリゾート施設まで加わって、失われた百済の文化遺産を体験できる観光名所だ。

百済の悠久の歴史と輝かしい文化を再現するために、1994年から2010年まで、17年間の歳月と6971億ウォンの費用をかけて、失われた巨大な百済の世界を現実のものとして再現した。

百済歴史テーマパークだからといって、中途半端な再現物やドラマ撮影地ほどのレベルを考えては困る。今はなき百済の建築物を、出土した遺物を研究し、百済の建築技法が伝えられた日本の寺などを回るなど、様々な考証の方法によって、最大限、原形に近づけた。建物を建てる時は文化財以上の精魂が込められた。大木匠、漆匠、丹青匠など韓国伝統建築の6つの分野の職人が参与し、文化財復元級の完成度を誇るもので、見る価値も格別だ。

 

巨大な威容の泗沘城&陵寺、百済時代へ時間旅行

百済文化団地は、百済時代の建築物150棟が建てられ、百済当時の政治・経済・文化生活を見せる空間である。泗沘城と名づけられたその都は、韓国初の百済王宮を再現したもので、王宮である泗沘宮(サビグン)と、陵寺(ヌンサ)、生活文化村、慰禮城(ウィレソン)で構成されている。韓国と日本に残っている百済の資料をもとに、百済時代の建築様式をリアルに再現した、百済の歴史と文化を理解するランドマークである。

三国時代の王宮の中で初めて再現された泗沘宮は、宮殿の中心となる天政殿(チョンジョンジョン)と東の文思殿(ムンサジョン)、西の武德殿(ムドクジョン)などが回廊で囲まれ、この上なく美しい。4492平方メートルの広さに14棟が建てられ、古代の宮殿の基本的な配置形式に従って、王が政務を行った空間を再現した。

天政殿が断然、観光客の目を引く。宮殿の中でも最高の象徴的空間で、新年賀礼式、外国使臣接見など、国や王室の重要な行事にのみ使用された。高さ19メートル、建築面積337平方メートル、2階の規模で、壮大さと華やかさを兼ね備えた百済王国の位相がうかがえる。特に宮殿の裏の庭園にある東屋に上がって景色を見ると、周囲の環境とよく調和した美しい景観に思わず感嘆の声が上がる。

泗沘宮の右隣には、百済時代の寺院の陵寺がある。陵寺は、寺院の名称が明らかにされていないため、扶余郡扶余邑陵山里で発掘された寺院ということで、その地名を取って「陵寺」と名づけられた。百済を代表する遺物である金銅大香炉(国宝287号)が発見された寺の建物の址をもとに、五層木塔や金堂、講堂、回廊など13の百済時代の寺の建物を完成した。

寺院の配置が白眉だ。南から大通門、陵寺五層木塔、大雄殿、慈孝堂と、南北の中心軸線上に配置する「一塔一金堂式」をとっており、百済時代の寺院特有の配置に従った端正な美しさが見事だ。百済文化団地で最も高い建築物である陵寺の五層木塔は、高さが38メートル。簡素美あふれる百済の感性がそのままに表れており、旅行者はその前で足を留めずにはいられなくなる。

泗沘宮の左側には百済時代の人々の生活も垣間見ることができる生活文化村もある。階層別の住宅様式を再現したもので、当時の生活の様子を、貴族、軍官、中人、庶民の4つの階層に分けて見せてくれる。特に軍官住宅は、百済当時の最高武将であった​​階伯(ケベク)将軍の家屋として演出してあり、百済軍の鎧や武器なども見ることができる。

 

서민의-집

 

生活文化村の奥には慰禮城がある。慰禮城は百済初期、漢城(ハンソン)に都があった時の城の様子を再現したものだ。土を盛って造られた城の中に、慰禮宮や高床式家屋、竪穴式住居などが時代考証を元につくられており、今にも百済の兵士が飛び出してきそうなリアルさをもって迎えてくれる。

このように、百済の城が、寺が、村がそのまま現れたかのように再現されている泗沘城が目を引くが、より深く百済の遺産に接したいのであれば、百済の歴史博物館である百済歴史文化館をお勧めしたい。地下1階、地上2階の延べ面積8796平方メートルで、1階は百済の歴史と生活文化、2階は百済の信仰と文化交流をテーマに4つの常設展示と企画展示室などを備えている。観覧客が最も多く訪れる場所は1階の生活文化館で、1400年前の百済時代の市場、港の様子や王宮の朝会の場面、城を築く様子などが模型で再現されている。また、武寧王陵、定林寺址五層石塔、弥勒寺址石塔、金銅大香炉などの主要な遺跡・遺物の複製品も展示されており、七支刀、瑞山磨崖三尊仏などは、最先端の映像技術で紹介しており、実物を目の前で見るように幻想的だ。

百済文化団地泗沘城内の天政殿の前の広場で開かれる常設公演も百済文化団地を訪れた観光客なら見逃せない見所だ。国宝第287号の百済金銅大香炉をテーマに「金銅大香炉、千日間の誕生物語」というタイトルの創作劇が、平日2回(11時、 14時)、週末3回(11時、 14時、 16時)行われ、観覧客を百済時代に誘う。

 

Information

百済の王宮を再現した百済文化団地は扶余市外ターミナルからタクシーを利用して15分の距離に位置する。開館時間は、夏季(3〜10月)は 9時から6時まで、冬季(11〜2月)は午後5時まで。入場料は百済歴史文化館観覧料を含めて大人基準4,000ウォン。様々な無料体験プログラムも盛りだくさんで、百済の伝統衣装体験(西宮仁徳殿)および、百済王の王座に座って写真を撮る「御座フォト」体験(西宮)が外国人観光客にはお勧め。

 

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