趣のある風景、特別な韓国旅行の思い出作り 韓屋での一泊を楽しむ

2011年05月12日

趣のある風景、特別な韓国旅行の思い出作り

韓屋での一泊を楽しむ

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急激に近代化が進んだ韓国。古い建物の風景は、再開発という名の下に大きく変わってしまい、巨大なビルや住商複合の建物、マンションが立ち並ぶ街は住みやすくなったものの、素朴な街の風景がだんだんなくなろうとしている。そんな中、昔の一流階級の人たちが住んだ、韓国伝統の家「韓屋(ハノク)」に注目が集められている。ただ、訪問し内部を眺めるだけではなく、マンション暮らしに慣れた韓国人や、海外からの観光客の宿泊者を受け入れ、昔ながらの趣が感じられる韓屋ステイプログラムが運営され、特別な時間が提供される。韓屋で過ごすひと時は、どのような時間をあたえてくれるのだろうか。韓屋が多く保存されている北村韓屋村内の韓屋スティを訪れてみた。

文/大成直子

 

1900年代の初めに作られた昔ながらの街である北村韓屋村

ソウルが漢陽(ハニャン)と呼ばれていた朝鮮時代、景福宮と昌徳宮の間にあり、風水地理的にも優れていたことから、漢陽の政治・文化・行政の中心地となったのが北村(プッチョン)だった。宮廷に使える上流貴族や両班(ヤンバン)たちの住居地として多くの韓屋が建てられたが、大都市では広い家を建てることができなかったため、狭い空間で効果的な家を作るように努力された。そのためほとんどの韓屋は規模が小さく、庭を中心に母屋(アンチェ)と離れ(ビョルチェ)が取り囲むコの字型やロの字型構造に配置されている。狭い路地にぎっしりと建つ韓屋は、路地に家を建てていくうちに現在の韓屋密集地域となったという。

韓国政府が1970年代にセマウル運動(韓国の近代化を目指した運動)を行いながら、韓国の大部分の韓屋がとり壊され、スレート屋根を載せた西洋式の家が立ち並ぶように運動が行なわれたが、北村の人々はその流行に流されず、韓屋を守り、保存し、伝統文化を蘇らせようとする努力を行ったことから、現在でも数少ない韓屋村として多くの人たちが訪れ、体験する文化的な街となった。

 

人に優しく自然と調和する家、韓屋

韓国の伝統家屋である韓屋は、屋根に瓦が使われた瓦家と、草が使われた草家の2種類に分けられるが、以前、瓦を使った家は製作費が高く一般市民には手が出せない家だった。庶民が暮らした藁葺き屋根の草家を、現在はほとんどソウルで見かけられることはなくなり、保存されているのは瓦家の家だ。

韓国の伝統家屋である韓屋は自然を包み込む器だといわれる。基本的に、自然との調和を重視する風水や五方の考え方を取り入れ、どの家も自然に逆らわない構造と配置を備えており、家に使われる材料も自然から多く得られる木や黄土、土、石などの環境に優しい素材が使われるためだ。一例として韓屋の伝統暖房方式であるオンドルは、冬に地熱を吸収して夏に土地の中の寒気を含ませ、季節に合った快適な室内環境を作り、人体によく吸収される遠赤外線を発散するが、これの遠赤外線は人体から有害物質の放出を促すように作用する。韓屋で一夜を過ごすだけでも体が軽くなり、活気を感じるようになるのは、韓屋に含まれた自然の知恵によるものだ。

また、夏の暑い日を過ごすため、韓屋では自然に風が通り抜けるように設計されていて、「マル」と呼ばれる縁側では、屋根の下で暑さをしのぐ空間として利用された。

韓屋の主要な素材となっている黄土は、四季折々の変化に合わせ温度や湿度を調節し、近年、韓国ではアトピーなどの皮膚疾患が増えていることから、環境に優しい韓屋がアトピーや健康に良いということが科学的に証明されたことからも、韓屋を作るケースも増えてきている。

 

韓屋スティで韓屋の趣を体験

世界共通であるフロントの雰囲気、ベット・バスルームからなるホテルでの宿泊は、せっかく韓国で宿泊したにもかかわらず、その雰囲気を味わうことなく帰国となる。そこで特別な思い出を作ることができる韓国の伝統家屋での宿泊先「韓屋スティ」が人気を集めている。古くから受け継がれた家具、韓紙が張られた門、甕台などの風景とともに、その家の主人のあたたかい情にも触れられる韓屋スティの代表的な北村一帯の家を訪問してみた。

 

  • イラン(이랑)6

昌徳宮(チャンドックン)に隣接する韓屋。25年間暮らしてきた家の隣の家を購入し、リモデリングを行い、ゲストハウスを始めた。今年の1月からオープンしたばかりで、すっきりとして、清潔感溢れる韓屋や、寝具が自慢。宿泊層は韓国人が多いが、主人のおばあさんは日本語ができ、その娘は英語ができることから、言葉の不自由さを感じることなく韓屋体験が楽しめる。韓国語で「だれだれと」という意味である「イラン」という名前からも、一人ではなく皆で楽しく過ごす時間を過ごしてほしいという意味が込められた場所。24時間出入りが可能なため、明洞、仁寺洞で遅くまで遊んでも気兼ねなく利用が可能だ。朝ごはんは軽い韓国式食事が用意される。

客室数:2室

利用料金:50,000~100,000

行き方:安国駅1番出口から昌徳宮方面に徒歩15分直進。

電話番号:

 

  • ヨヌハウス(연우하우스)

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主人の趣味が書道なことから、作品が家中に展示されている。主人とともに書道体験も可能で、ここを訪れる訪問客には、主人自らその人のために記念の一筆を書いて、プレゼントしてくれる。主に日本人の宿泊客が多いが、取材したこの日も日本からの宿泊者がいた。朝、主人が近所にある三清公園へ散歩にいくため、同行すれば、1時間余り案内もしてくれる。主人のおじいさんが定年退職後、ゆっくりと暮らしながら韓屋を紹介したいという希望から始めたゲストハウスであり、朝ごはんも主人と同じメニューの韓国式の朝食が準備される。暖かい人情を実感する、田舎の親戚の家を訪れたような懐かしさを感じられるゲストハウス。個室にトイレが着いた客室が準備されている。

客室数:2室

利用料金:50,000~100,000ウォン

行き方:安国駅2番出口から10分ほど直進し、ソウル鶏文化館の隣に位置。

電話番号:02-742-1115

 

  • 詩人通信(시인동신)

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主人がインサ洞で文化カフェの運営者として有名な人だった。そのカフェの名前が詩人通信ということから、そのゲストハウスの名前にもなったが、一人暮らしとなり人々との交流を求めて2010年5月からゲストハウスをはじめたという。外国人にはキムチ作り、マッコリ作り、韓国料理体験など、韓国文化を共に楽しめる家庭的なサービスが準備される。小さな庭には韓国的な作品がいっぱい展示されていて、天気の良い日には庭に準備されたテーブルにてお茶を飲み、本を読む時間も楽しめ、詩人の主人が、誌の朗読も披露してくれる。

客室数:2室

利用料金:30,000~70,000ウォン

行き方:安国駅2番出口から直進し、冬のソナタに登場した「中央高校」正門の隣。

電話番号:02-737-4534

 

  • ユジンハウス(유진하우스)eugenehouse.co.kr

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1940年に恵化(ヘファ)洞が新教育、新宗教の中心地として浮上しながら建てられた韓屋。近代韓屋の特徴をそのまま活かした韓屋であり、あまり見られない「ㅁ形」で作られ、庭もある2つの韓屋が並ぶ。大きな道から離れているため、都市の中で閑静な田舎に来たような感覚を受ける。成均館(ソンギュンクァン)大学が近いことから、大学生の利用客が多く、若い女性、家族などが多く訪れる。大学路(テハンロ)から5分の距離にあり、ソウル城郭からも近い。主人は英語が、夫人は日本語が上手で、陶磁器をはじめとする東洋文化に関する作品を集めている事から、小さいものの多彩な東洋文化と出会うことが出来る。チマチョゴリ着付け体験、茶道体験、伝統婚礼体験、キムチ作りなど、様々な体験が可能。インターネットを通じた宿泊予約が可能。

ソウル市鐘路区恵化洞5-43

客室数:13室

利用料金:60,000~250,000ウォン

行き方:4号線恵化駅1番出口から約10分。

電話番号:02-741-3338

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