映画「二十歳」

2015年04月17日

二十歳

「一番恥ずかしい瞬間、僕らは一緒だった」

新作映画「二十歳」

 

二十歳 映画「二十歳」(監督イ・ビョンホン、製作映画の木ピクチャーズ)は魅力あふれる二十歳の青年たちの姿を描いたコメディだ。一人はかっこいいが女好き、もう一人は生活力はあるが金は無し、そして最後の一人は勉強ができるが酒が入れば怪物に変身するという、3人の友人が繰り広げる友情と愛情の映画だ。「青春」と聞くと、ほろ苦く、切ないイメージがするが、そんな重くて苦しいものではない、飛ぶような活力にあふれた青春の姿を描く。

まず一人目の主人公チホ(キム・ウビン)は誰もが認める恋愛の達人。友達3人が同時に恋に落ちたソミン(ジョン・ソミン)の心を掴んだのは、やはりこのチホだった。しかし、告白する前から胸に触れようとしたり、ロマンチックな雰囲気を演出するかと思いきや、友達たちを部屋に忍ばせ、隠れて見物させたりする。さらに、ガールフレンドがいるのに、他の女の子に会ったりと、だらしない恋愛が得意だ。

しかしそんなチホを憎めないのは、彼の純情さが見え隠れするからだ。ガールフレンドの心をハチャメチャに引っ掛けまわしても、別れの時にはきっちりと誠実さを見せる。生まれて初めて愛する女性と出会った時には、優しくはできないものの、正直な愛情表現もする。

そんなチホを演じるのは、今まで世の中に不満が多い、陰のある役割が多かったキム・ウビン。今までのイメージとのギャップについての心配は無用だ。映画の終わりに「キム・ウビンは本来こんなやつではないか」と思ってしまうほどチャラ男キャラを見事に演じる。

また、二人目の主人公ドンウ(イ・ジュノ)は、現実的な条件で比べてみたら、3人の中で一番生活力がある。経済能力がない母親、それに下に3人も続く兄弟たちを養うため、毎日毎日アルバイトに精を出す。しかし、映画の中で一番熱烈な求愛を受け、濃い恋愛をするのがこのドンウだ。

ドンウの魅力は誠実さと集中力にある。ドンウは自分の置かれた立場をよくわきまえた人物だ。それで友達のキョンジェ(カン・ハヌル)の妹であるソヒ(イ・ユビ)が塾にまで付きまといながら積極的にラブコールを送り、同い年の友達ミンジョン(ペク・スヒ)の心を知りながらも、それを知らないふりをしたり。もてるのは、「ドンウのような男と結婚したい」と思わせる、ドンウの性格によるものだ。

最後の一人キョンジェ(カン・ハヌル)は3人の中で唯一の大学生だ。大企業に就職することを目標にしている現実的な人物。しかし、女性といると我知らず、無理に強がって見せる。表情では充分怯えているくせに「このスピードがたまならい」と言ったり、一人で様々な妄想を楽しみながらも、「そんな下品なことは知らない」と白を切ったりする。

しかし、そんなキョンジェの強がりは、なんとも憎めない。好きな女性の前では緊張してどうしようもない気持ちが伝わるからだ。これで告白もできないままふられてしまうが、愛する女性のために、知らない人たちにまで深々とお辞儀をしながら、付きまといながら無理を聞いてもらう、純情なキョンジェを嫌うのは無理というもの。

二十歳

そんな3人の魅力が充分に発揮されて、普段は映画のオフシーズンといわれる3月であるにもかかわらず、封切わずか5日間で100万人の観客を動員した。その過半数以上が若い女性層からの支持によるものだ。キム・ウビンはドラマ「学校2013」をはじめ、「相続者たち」などを通じて女性ファンが確保されていて、イ・ジュノもやはり、2PMの活動を通じて、女性ファン、特に10~20代から人気が高い。カン・ハヌルも人気ドラマ「未生」などの作品を通じて20代の女性たちに人気が高い。

この映画が商業映画デビューとなるイ・ビョンホン監督は作家としてその名が先に知られた人物だ。「過速スキャンダル」や「サニー~永遠の仲間たち」の脚本に参加し、「タチャ~神の手~」、「今日の恋愛」のシナリオを書いた。これらの作品では、スピード感にあふれる作品展開と、ジョークが散りばめられた中にも心に響く台詞で映画の興行を成功へと導いた。そんな魅力がこの「二十歳」で満開したといえる。キム・ウビンは「監督が書いたエロい台詞に、はじめは動揺したけれど、言い続けているとだんだんチホのようにふざけた悪ガキさが違和感なく演じられるようになった」と語った。

この映画ではシリアスな場面を探すのが難しい。登場人物たちはネジが一つ緩んだ人のようで、地から足が浮いているようだ。自身に立ち向かう試練や困難、失敗などにも瞬発力を持って挑む。痛かったら痛いまま、嬉しければ嬉しいままだ。

今から二十歳になる人も、二十歳をとうに過ぎた人たちにも、共感を与え、面白おかしくストレスが発散できる映画「二十歳」は、韓国の各劇場で絶賛上映中だ。

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