韓国で初のジャンクアートミュージアム「オデホ・アートファクトリー」

2019年08月01日

オデホアートファクトリー

 

 忠清北道忠州市の郊外、廃校の校庭にロボットが現れた。映画「トランスフォーマー」で見たようなロボットが何体も並んでいる。その脇では近未来SFに出てきそうなバイクが走っている。子供たち、いや大人までわくわくするような作品が並ぶここは、今年5月にオープンした「オデホ・アートファクトリー」。オープンして間もないにもかかわらず韓国観光公社が推す観光地に選ばれた新進気鋭の博物館を紹介しよう。

文/町野山宏記者
「オデホ・アートファクトリー」は、廃品を材料にした「ジャンクアート」を展示した美術館。廃校になった小学校の建物とその敷地に1千点を越すジャンクアートが展示されている。驚くのは、この作品すべてがこの美術館の館長であるオ・デホさんの手によるものだということ。なんとこれまでに作った作品は6000点に及ぶという。

ファクトリーを訪れて目を引くのは、やはり巨大なロボット。自動車やバイクの部品を使ってつくっているためか、やはりトランスフォーマーを思い出す。大きいものは高さ5mに達し、今にも動き出しそうな迫力を感じさせる。さまざまな大きさのロボットのほかにも、実際に乗れるバイクのような作品も目を引く。それも、普通の美術館とは違って触ったり乗ったりすることができるのも、この美術館の大きな特徴の一つだ。庭には自転車などの乗り物もあれば、滑り台や手押し車のような子供の遊び場にあるような作品もある。それを大の大人が乗ってはしゃぐ姿が見られるのもこの美術館ならではの珍風景だ。

オ・デホ館長は、もとはアーティストではなく、プラスチックのリサイクル業をしていた。それが廃業した後、偶然見た雑誌を通してジャンクアートというジャンルに触れたという。「これなら私にもつくれる」と思って始めたジャンクアートだったが、20年前の韓国ではジャンクアートに対する理解がなく、注目されなかった。しかし、だんだんと認められるようになり、北京で開かれたスチームパンクアート展に招待されて10点の作品を完売したこともあった。

庭だけでなく、建物の中にも多彩な作品が展示されている。何かのキャラクターを思わせる作品からミュージシャンたちをテーマにした作品など、見ているだけで楽しくなる作品ばかりだ。カフェにもオ・デホ作家ならではの家具が並ぶ楽しい空間になっている。

さまざまな作品を見ていると、自分でもつくってみたくなるかもしれない。そんな観覧客のために、実際にジャンクアートを体験するプログラムが用意されている。オ・デホ作家の作品に色を塗る「アートカラーリング」、ダンボールを材料にしたロボットを作る「エコボット」、実際に廃品を利用して団体で大きな作品をつくる「ワンデイクラス」があり、対象年齢も「子供から大人まで」というゆるさがいい。

訪ねるたびに新しい作品が加わっていると、何度も訪ねる人もいるというこの美術館。忠州の田舎で異色のアート体験をしてみてはいかがだろうか。

 

オデホ・アートファクトリー

忠州市外バスターミナルで360、361、364、365番の市内バスに乗り、「ヌンアム」停留所下車(乗車時間約80分)。震央方向に徒歩12分。タクシーではバスターミナルから約30分。
開館時間:火~日 10:00~17:30(月曜休館)
Tel. 0507-1339-0741
観覧料金:大人3000ウォン、子供5000ウォン
http://5factory.kr

Pocket

関連する記事はこちら

100

元韓国語学留学生が ソウルを歩く

中川さんの久しぶりソウル 1日密着レポート 日本に空前のブームを巻き起こした韓流。韓流ドラマやK-POPの影響で韓国語を習い始めた日本人はたくさんいるようです。中川さんが韓国に留学に来たのは2005年の4月。当時は韓流の波がうねりだそうとする少し前でしたが、それでもいち早く韓国の…続きを読む

精進料理体験館01

尼さんから学ぶ韓国の精進料理「韓国寺刹飲食文化体験館」

韓国旅行での大きな楽しみの一つが「食」だろう。さまざまなおいしい料理があふれているが、その中でも最近注目を浴びているのが韓国の寺院に古くから伝わる精進料理だ。伝統を継承しながらよりおいしく、栄養価の高い料理を提供するために発展を続けてきた。そのような精進料理を紹介する「韓国寺刹飲…続きを読む

메인_세로A

韓国観光公社ウェルネス観光25選特集 -上-

今までにないワンランク上の韓国旅行 「韓方、自然・森の癒し、 ヒーリング・瞑想で満喫する 韓国ウェルネス観光」    健康的な生活を追求する人のためのとっておきの旅行である「ウェルネスツアー」が旅の世界的なトレンドとなっている。疲れた心身を休ませて健康な生活を追求する少…続きを読む

40e0cc4dedf4ed0a2ca432252b2e5cba-150x150

ユネスコ世界遺産の地で出会う新羅王国の遺産

ユネスコ世界遺産の地で出会う新羅王国の遺産 慶州に位置する貞洞劇場慶州が新作伝統音楽「讚耆婆郎歌」を通じて観客と出会う。新羅国の最精鋭武士である「花郎」として、最も勇敢だと噂される「耆婆」を主人公に、青年・耆婆が最精鋭武士として成長していく過程を、新羅の歴史と文化とを交えながら紹…続きを読む

국립중앙박물관_꽃전시

国立中央博物館、書画観絵画室に新しい作品を公開

国立中央博物館、書画観絵画室に新しい作品を公開 -新年遺物を交替「朝鮮時代の花の絵」展開く 国立中央博物館が春を迎え、博物館内美術史展示館である書画観絵画室の遺物を新しく交替し観覧客を迎える。 新しく展示される作品らは近づく春とよく似合う「朝鮮時代の花の絵」達で、国立中央博物館の…続きを読む

001

1万ウォンでソウルを楽しむ観光コース

1万ウォンでソウルを楽しむ観光コース ソウル観光 食事を1日 1万ウォン以内で済ませる! ソウル旅行の目的は食べるためという人もいるほど、ソウルはおいしいものがたくさん揃ったグルメ天国です。焼肉や海鮮鍋、韓定食など少々お値段の高い高級な食事を楽しむのも良いですが、ソウルには安くて…続きを読む

百潭寺01

百潭寺テンプルステイ体験記

  自分の欲するところを自分に問う贅沢な時間   百潭寺テンプルステイ体験記   韓国の寺院で仏教の修行を体験するテンプルステイ、最近、日本でも知られるようになってきたが、実際に体験した人は多くはない。そんなテンプルステイを体験してもらおうと、韓国仏…続きを読む

뮤지엄산_메인

芸術と感性、自然、瞑想で癒される特別なミュージアム、ミュージアムSAN

ミュージアムSAN(Museum SAN)は、江原道・原州(ウォンジュ)に位置する美術館だ。インスタグラム、フェイスブックなどのソーシャルネットワーク(SNS)内でよく登場する原州の名所だ。最初は山の中にあり、名前がミュージアムSANということくらいしか知らなかった。しかし、知っ…続きを読む


東海岸圏経済自由区域01
東海岸圏経済自由区域02

  • travel agence