私だけの秘密にしたいヒーリング聖地「江原道」 ~2 束草市 ~

2020年06月22日

海と山が作り出す美しい観光地とともに「おいしい」ものが待っている「束草市」

20200606_154958

韓国を代表する美しい山「雪岳山(ソラクサン)」と青く輝く海「東海」、そしてここならではの特産品が楽しめる「中央市場」など、昔から避暑地として、観光地として有名な束草(ソクチョ)市は、先ほど訪問した襄陽郡から30分の距離にあります。江原道の中で一番面積が狭いのに、人口は約8万2千名と人口密度が高く、そこに国内外から多くの観光客が訪れるので活気が感じられます。

そんな束草市で最近注目されている場所が「パダヒャンギロ(海の香り路)」です。 ここは、2018年4月12日に65年ぶりに民間人の出入が可能になった場所。以前この外瓮峙(ウェオンチ)海岸は潜水艦で近づきやすく岩場となっていることから北朝鮮からの武装スパイが侵入したことがあり、海外線は鉄条網で囲まれ軍隊が見守っている場所でしたが、2年前に束草海岸から外瓮峙港へと続く1.74kmの海岸散策路として整備、パダヒャンギロと呼ばれ美しい海と安保観光ができるようになったことから多くの観光客が訪れるようになりました。昨年放送されたtvNの人気ドラマ『ボーイフレンド(남자친구)』の撮影場所となりさらに注目が集まりましたが、主人公のソン・ヘギョはこの路の上に立つホテルの代表、年下のボーイフレンドであり職員のパク・ボゴムとデートを楽しむ場面にも登場ました。

そして次の目的地「アバイマウル」へと向かいます。このアバイというのは江原道の言葉で「おじさん・おじいさん」を指す単語。朝鮮戦争の時に北朝鮮から非難してきた人たち(失郷民のおじさんたち)が暮らしはじめてできた村であり、今でもその家族たちが多く生活しています。ここを訪問する際にはケッペという渡し舟に乗って行き来しますが、韓流ドラマの中でも有名な「秋の童話」のロケ地として登場し注目を集めました。この船は乗る人が船の中央にある太いワイヤーをひっぱりながら移動させますが、5分ほどでアバイマウルへと到着します。ここでは北朝鮮由来のグルメが堪能できますが、やはり有名なのが村の名前が入った「アバイスンデ(豚の腸詰め)やオジンオスンデ(イカの腸詰め)、そしてトウモロコシのマッコリなどで、多くのお店で気軽に食べることができます。

少しお腹が膨れたなら、その近くにある「束草観光水産市場」へと歩いて移動します。ここも食べ歩きファンにはたまらない有名な料理でいっぱいの市場です。定番はなんといってもここが発祥となった「タッカンジョン」。その中でも有名なのが、1983年にこの束草市場で生まれ、全国の百貨店などにも進出した「萬石(マンソク)タッカンジョン」です。もともと「カンジョン」とは餅米を油で揚げてハチミツに浸した甘いお菓子ですが、それを鶏のから揚げで作ったこと大ヒットしました。そして、また新鮮な豚の腸やイカを使ったスンデももちろん並んでいますし季節がらなのかおいしそうなカニがたくさん並んでいます。江原道の特産品であるそばを使ったそば煎餠やあんこ入りのきび餅など、試食や買い食いを少しずつ食べてもはお腹は満足です。

そして、最近束草でインスタ栄えすると有目なカフェである「七星造船所(チルソンチョソンソ)」へ向かいます。 1952年、北朝鮮から来た船職人のチェさんが朝鮮戦争が終わると北朝鮮に戻ろうという思いから、北に近い束草に造船所を作りました。しかし、戻ることができず2017年まで3代にかけて造船所を運営しましたが、運営が厳しくなり弊店。しかし3代目のチェさんの孫が博物館兼カフェとしてリニューアルして現在にいたります。湾のような青草湖を見ながら、古い建物(造船所)とカフェ、そして庭からも湖をみながらゆったりとおいしいコーヒーが楽しめます。

そしてせっかく海辺の束草まできたのだから、おいしい海鮮物を十分楽しみたいもの。そこで刺身専門店が所狭しと並ぶ大浦(テポ)港で、刺身とカニが楽しめる「モグリ刺身店」を訪れることになりました。シーズンによって違うものの、巨大なズワイガニと紅ズワイガニの2種類の茹でかにが堪能できます。ここではカニを頼むとムルフェ(お刺身と野菜の和え物)やヒラメやタイなどの刺身、メウンタンなどたくさんの料理がサービスという値打ちのある食事が楽しめます。

IMG_3010
▲アバイマウルへと向かうケッペ。地域住民は無料で、観光客は500ウォン
IMG_3022
▲多くの人で賑わう束草水産市場。イカスンデ等が並ぶ
IMG_3042      ▲七星造船所。現在は博物館やカフェとして運営。

20200606_195059      ▲新鮮なカニがたくさん食べられる大浦港

Pocket

関連する記事はこちら

百済園

世界遺産の都・扶余の新しい魅力を求めて

韓国の歴史観光地として最も有名なのは、三国を統一した新羅の都である慶州だが、新羅によって滅ぼされた百済の都である扶余も、歴史好きにはたまらない観光地だ。ただ、ほとんどが建物の址のみを見るだけであるため、相当な関心がなければ難しいテーマであったことは事実だ。しかし、それも昔の話にな…続きを読む

南沙イェダム村

故宅で儒教の精神に触れ、市場で田舎の人情に出会う 慶尚南道

故宅で儒教の精神に触れ 市場で田舎の人情に出会う   慶尚南道、河東・山清・咸陽・陜川   慶尚南道を訪ねたことはあるだろうか。海の絶景が楽しめる統営や南海、桜が咲き乱れる軍港祭で知られる昌原など、人気の観光地は多い。しかし、海に近い観光地はよく知られているも…続きを読む

IMG_8485

韓国の古代史を追い、日本のルーツに出会う 大加耶古墳群

世界文化遺産暫定候補 慶尚北道高霊郡 大加耶古墳群    韓国の古代史は謎が多い。文献として残る資料が少なく、残っている数少ない資料を頼りに研究していくしかないからだ。そのような中で、太古の歴史を証明してくれる遺跡が慶尚北道の南部にある。洛東江(ナクトンガン)をはさんで大邱市と隣…続きを読む

IMG_2852

[特別インタビュー] 元・外交通商部長官 柳明桓 共通の歴史文化を通じた 観光交流で未来を開こう

共通の歴史文化を通じた 観光交流で未来を開こう 柳明桓元・外交通商部長官 特別インタビュー   韓国の李洪九元首相や福田康夫前総理等とともに、日本と韓国の元老たちによる韓日関係改善のために作られた「韓日賢人会議」のメンバーであり、駐日本大使も歴任した元外交通商部長官(外…続きを読む

IMG_7496

釜山旧都心ストーリーツアー

釜山に隠された物語に出会う 釜山旧都心ストーリーツアー    多彩な観光地が旅人を誘惑する街・釜山。ソウルに比べると街の規模は小さいものの、山あり海あり街ありの人気観光地だ。そんな釜山に数年前から人気が出ている観光が、旧市街を歩くツアー。「釜山旧都心ストーリーツアー」と…続きを読む

공주_메인_공산성

公州・扶余・益山を巡る百済歴史紀行

  聖なる名「百済」、ユネスコ世界遺産の地を訪ねて 世界が認めた百済文化の出発点、百済の都「公州」 公州は百済の第2の都である熊津があったところだ。韓半島の北方地域を掌握していた高句麗に漢江流域を奪われ、追われるように降りてきたのだが、雨降って地固まるというごとく、百済…続きを読む

IMG_6029

ソウル駅高架が車道から歩道へ~ソウル路7017を歩く

5月20日、ソウル路7017がオープンした。ソウル駅を見下ろして線路の両側を40年間にわたってつないできた高架道路が市民の憩いの場として生まれ変わったのだ。空中歩道となった高架道路の愛称は「ソウル路7017」。「70」は高架道路が建設された1970年を意味し、「17」は生まれ変わ…続きを読む

부여공주_서브01

2023大百済典が開催される歴史遺産の都市、公州市&扶余郡

  日本と深い縁を持つ昔の古代王国がある、名前は「百済」だ。高句麗・新羅、百済の3王国が営んだ三国時代の中で、最も美しく、輝かしい文化を誇った王国だ。 見どころも満載だ。ユネスコ世界遺産に「百済歴史遺跡地区」という名前で、2都市にわたって合計6ヶ所が世界遺産に登録されて…続きを読む


東海岸圏経済自由区域01
東海岸圏経済自由区域02

  • travel agence