空港鉄道に乗って訪ねる仁川空港夏の海の旅
空港鉄道に乗って訪ねる仁川空港夏の海の旅
Season Report
「仁川空港で出会う小さな逸脱」
韓国旅行の玄関口である仁川空港のすぐ前、ソウルからでも空港鉄道に乗ってわずか1時間で異色の海の旅が楽しめるところがある。それは仁川空港が位置する永宗島(ヨンジョンド)だ。高速で快適な空港鉄道に乗りさえすれば行ける便利さに加え、煩雑なソウルや仁川空港とは違った静かな逸脱を日帰り旅行で満喫できる。
文/李相直記者
仁川空港が位置する永宗島は、乙旺里(ウルワンリ)、王山(ワンサン)ビーチ、舞衣島(ムイド)、実尾島(シルミド)など、海と島が並ぶ意外な観光名所だ。ソウル駅と仁川空港を結ぶ空港鉄道を利用すれば、ソウルから1時間で到達し、ソウルからの観光客には日帰りの海の旅の名所として知られている。もちろん、韓国の玄関口である仁川空港からも至近距離のため、空港から行くには最高に便利な場所であることはいうまでもない。
空港鉄道を利用して行くことができる永宗島の海の旅は半日旅行コースにぴったりだが、何よりも昨年、世界で2番目に開通した磁気浮上鉄道に仁川空港駅で空港鉄道から乗り換えができ、永宗島一帯旅行がさらに便利になった。仁川空港駅を起点に終着駅である龍游(ヨンユ)駅まで6つの駅をつないでいるが、特に運賃が完全無料なのが嬉しい。
空港から路線バスで直通、乙旺里&王山ビーチ
乙旺里・王山ビーチは、仁川国際空港が位置する永宗島一帯の代表的なビーチだ。正確には永宗島ではなく、龍游島だ。仁川国際空港が位置する一帯は、過去、永宗島と龍游島という2つの大きな島だったが、空港開発のために2つの島の間の海を埋め立てて空港を建設し、一つの島となった。それでも地名は半分に分けて永宗島と龍游島とそれぞれ呼ばれている。仁川空港を境に右側が永宗島、左が龍游島で、1つの島に2つの名前があるのはそのためだ。
乙旺里ビーチと王山ビーチは仁川空港鉄道が開通して人気が急上昇したところだ。仁川空港からはタクシーに乗れば10分、バスに乗っても30分で行けるため、ソウルから空港鉄道を利用して行く日帰り海の旅の代名詞だ。
乙旺里ビーチの自慢は、長さ約1・5㎞の長いビーチ。引き潮時の砂浜の幅が200mになり、壮観だ。何よりも日没時の風景は一幅の絵を連想させる絶景だ。夕暮れの乙旺里ビーチを見ないで帰ったら永宗島旅行の半分を失うといってもいいくらいで、時間があればぜひ日没の風景は見ておきたい。乙旺里ビーチでは、毎年8月に海水泳、ビーチ相撲大会、豊漁祭など楽しみいっぱいの海祭りが多彩に開催される。また、一帯の宿泊施設やレストラン、カフェ、リゾートなどの施設も盛りだくさんなので、島の旅につきものの不便さもなく、島旅行の初心者にぴったりだ。
乙旺里と丘一つを隔てている王山ビーチも注目すべきコースだ。乙旺里より小規模だがきれいな砂浜が広がっていて、緑豊かな松林が美しい隠れ家的旅行地として知られている。特に、引き潮の時は果てが見えないほど広い干潟が広がり、干潟体験場として人気が高い。干潟では赤貝、巻貝、サザエなどの貝が獲れ、潮干狩りも楽しめる。
乙旺里ビーチと王山ビーチには、仁川国際空港バス停留所(13B)で302番または306番の座席バスに乗って乙旺里海水浴場または王山海水浴場の停留所で下車すればよい。所要時間は35~40分程度。
無人島で余裕いっぱいのトレッキング、チョルム島
仁川空港が位置する永宗島と龍游島一帯の多くの島々の中で、観光地として行ける無人島があるが、それがチョルム島だ。干潮時には歩いていける道が現れ、気軽に行けるのが特徴だ。
チョルム島という名前は、遠くから見ると、人がうとうとと居眠りをしている姿に似ているということで、眠気(チョルム)島と呼ばれたのが由来だ。
チョルム島を楽しむ最も魅力的な方法はトレッキングだ。磁気浮上列車の終点である龍游駅で下車し、北に10分ほど歩くと美しいマシアンビーチが現れるが、ビーチを起点に弓のように曲がった海岸線に沿って歩いてチョルム島まで戻ってくるトレッキングコースが一品だ。
マシアンビーチから出発し、約2~3時間で奇岩いっぱいの無人島チョルム島を一回りできる。圧巻なのはやはり、チョルム島まで続く海の道の絶景だ。1日2回の干潮時には巨大な石の道が現れ、チョルム島に行く途中、少し前まで海の中にあった奇岩怪石の間に貝や小さな海の生き物たちの生態を観察できる。ちなみに、開かれた海の路は泥ではなく石の道のため、長靴などが必要なく、軽い運動靴があれば十分だ。
海路が開かれる時間は夏季基準で午後1時から午後6時前後まで。最長4〜5時間のコースのトレッキングを楽しむのには十分に時間はあるため、干潮の時間だけ憶えておけばよい。
舞衣島ハナゲビーチ、四輪バイクレース満喫
永宗島旅行で本当の島旅行らしい島旅行を楽しむなら、代表観光スポットはやはり「舞衣島」だ。短いながらも旅客船に乗って海を渡って行く場所であるため、本当の島旅行というに値する。かといってアクセスがしにくいこともない。仁川空港から磁気浮上列車に乗って龍游駅で降り、チャムジン島の船着場から船に乗れば、わずか5分で舞衣島に到着する。
舞衣島の名物は、「島で最も大きく一つしかない干潟」という意味に由来する「ハナゲ」ビーチ。その名のごとく、舞衣島で最も広いビーチだ。1㎞にわたるビーチには、無限の干潟が広がり、原色のバンガローが並ぶ姿が異国情緒をかもし出す。
海の風景も一品だが、軽いアウトドア体験も楽しむことができる。首都圏では唯一のジッパーワイヤーがハナゲビーチの海岸線に沿って設置されており、1㎞に及ぶビーチを眺めながら空の上を滑空することができ、砂浜では、四輪バイクのATVレースも楽しめる。さらに、ビーチの入り口には、漁民たちが直接運営する海産物を中心とした様々なグルメを備えたレストランもあり、辛い海鮮鍋をはじめ、仁川永宗島の名物料理も味わえる。
韓流ファンには嬉しい見どころもある。ビーチの一角にクォン・サンウとチェ・ジウ主演のドラマ「天国の階段」のドラマのセット場が残っている。
実際の韓国軍の暗殺部隊の話を扱った映画「シルミド」の舞台となった実尾島も舞衣島で出会える。実尾島は舞衣島の北に位置し、舞衣島内の実尾ビーチの真向かいにある。舞衣島とは海が隔てているが、1日2回、引き潮の時は海の道が開かれ、実尾島まで歩いていくことができる。三日月形のビーチと緑豊かな松林を背景に、のんびりとトレッキングを楽しむことができる。
舞衣島までは、空港鉄道仁川空港駅から磁気浮上鉄道に乗って龍游駅で下車、チャムジンド船着場まで歩いて移動し、舞衣島の舞衣島海運客船(www.muuido.co.kr)に乗ればよい。旅客船は舞衣島行が毎日午前7時から午後7時まで毎時15分、45分にそれぞれ出発し、帰りの便は朝7時から夜8時まで毎時定刻と30分に出発する。運賃は往復で大人3800ウォン。舞衣島内では循環マウルバスが運行しており、島内の移動にも便利だ。
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