Yuckyのうまうま大邱! ⑰ ぺたんこ餃子の原点、ミソンダン本店

2018年12月17日

납작만두 大邱の名物といえば、ぺたんこ餃子(ナプチャッマンドゥ)。以前「大邱10味紀行」でもご紹介しましたが、春雨とニラがほんの少し入った平べったい餃子で、大邱を代表するB級グルメです。大邱ではとてもポピュラーな食べ物で、スーパーや市場で普通に売られており、粉食屋さんやトッポッキ屋さんに行けば、一皿約3千ウォンで小腹を満たすことができます。

これまで私は西門市場にある有名店ミソンダンの屋台で食べることが多かったのですが、「ぺたんこ餃子を食べるならミソンダンの本店が一番!」という評判を聞き、真相を確かめるべく行ってまいりました。正直、あの簡素な食べ物に、それほど味の違いがあるのだろうか? と半信半疑でしたが、噂は本物! ミソンダン本店のぺたんこ餃子は今まで食べたことのない格別な味でした。

ミソンダン本店は、2号線と3号線が交差する新南駅の近くにある小さな食堂で、創業は1963年。「元祖」と呼ぶにふさわしい古い店構えです。中に入ると左側に鉄板があり、その後ろに配膳台とレジ、そして仕込みをする調理場へと繋がっています。客席には簡素なテーブルと背もたれのない丸椅子が並んでおり、ひっきりなしに入って来る客で埋まっていました。

餃子を焼くのは、創業者の後を継いだ息子さん(社長さん)ただ一人。鉄板の横には餃子の入った籠と、高く積まれた平皿が置かれています。鉄板に油をひき、餃子を並べてじっと待つ、丁寧に裏返してじっと待つ、焦げ目がついたら皿に盛る、という作業の繰り返し。焼き上がるまで鉄板からいっときも離れることなく、一枚一枚丹精込めて焼いているのが伺えます。そして時には思うように焼けなかった餃子が廃棄のボールに入っていきます。

運ばれてきたぺたんこ餃子を、どれどれ、と口に入れて驚きました。ほんのり焼けた餃子の芳ばしいこと! 油がほどよく回り、あのふにゃふにゃとした餃子に命がふきこまれたというか…。まぁ、そこまでいうと大袈裟ですが、餃子そのものの味に大差はなく、美味しさの秘訣は、徹底した「焼き方」にあると分かりました。ほとんど具のない餃子をここまで美味しくするなんて、さすが! こんなに美味しいぺたんこ餃子は初めてでした。

ぺたんこ餃子は、もともと食糧難の時代に、不足していたお米にかわって小麦粉でお腹を満たすために考えられた食べ物です。「小麦粉をどうしたら美味しく食べられるのか?」という創意工夫のたまものなのです。その小麦粉を「焼き」で勝負をかけたミソンダン本店。ワンランク上のぺたんこ餃子をぜひご賞味くださいませ。

 

ミソンダンナプチャッマンドゥ 本店
(미성당납작만두 본점)

大邱広域市 中区 南山路 75‐1
℡:053‐255‐0742
営業時間: 9時~21時
休業日:旧正月・秋夕の連休

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