Yuckyの大邱10味紀行 ④ タロクッパ
大邱10味紀行、今回ご紹介するのはタロクッパです。クッがお汁でパはご飯、いわゆる「おじや」。
実は、大邱10味の中で一番興味のなかったお料理です。だって、クッパは釜山で何度も食べたし、クッパの本場は釜山でしょ? と勝手に思い込んでいたのです。
ところがどっこい釜山のクッパと大邱のクッパは全くの別物!それもそのはず。釜山は「豚」で大邱は「牛」でできているのです。釜山のスープが、白濁した豚骨なのに対し、大邱のは赤くて半透明。コクはあるけどこってり感はありません。牛の骨や肉を煮込んだスープに、ネギや大根、ニラなどのお野菜に、唐辛子粉とおろしにんにくが入っていて、味はほとんどユッケジャンです。
話は釜山にとびますが、釜山といえばテジクッパ!(テジ=豚)テジクッパ通りもありますし、ガイドブックにも「釜山に行ったらテジクッパを食べよう!」なんて文字が躍っていますよね。
でも、意外なことに釜山出身の友人たちは「クッパなんて食べたことがない!」と口を揃えて言うのです。友人(韓国人)が言うには「豚のいいところはお金持ちが食べて、貧しい人たちが一番最後に残った部位で作ったのがクッパなの。ネクタイをした人や女の人が食べに行くなんてありえないわ」。さらに「ユッキーさんみたいに、女一人でクッパ屋さんに行くなんて、信じられな~い!」のだそうです。(苦笑)
話を大邱に戻しますネ。朝鮮戦争(1950~1953年)の時、大邱には全国から避難民が集まって来ていて、クッパは避難民の間でとても人気がありました。でも気位の高い両班(貴族)たちは、「スープにご飯を混ぜて食べるなんて、はしたない!」と、ご飯とスープを別々(タロタロ)に注文したというのです。これが「タロクッパ」と呼ばれるようになった由来。最近はソウルや釜山でもご飯が別に出てくるお店が多くなりましたが、ご飯とスープを別々に食べるようになったのは大邱が始まりだったのです。
また、大邱のクッパの特徴として、スープの中に「ソンジ」という牛の血の塊が入っています。私が行った食堂では、注文の際「ソンジはどうする?」と聞かれました。「血の塊」と聞いてちょっと躊躇しましたが、思い切ってチャレンジ!
ソンジは、見た目はレバーに似ていて、食感はツルンとしています。これといって味もなく、臭みもほとんどありません。予想に反して食べやすく、鉄分が豊富で貧血に効く、というのでせっせせっせといただきました。(でも、なかなか減りませんで…)お店によっては、大人の拳ほどので~っかいソンジがゴロゴロ入っていますから、ソンジが初めての方は、別にしてもらう方が無難かもしれません。
また、私が行ったお店(ハニル食堂)ではお店のご主人が「カクトゥギ(大根キムチ)の汁をクッパのスープに入れてごらん」と言うので試してみました。冷麺にお酢を入れた時のようにスープの味がキリッとしまり、酸味が加わってスープがサッパリ!この食べ方は有りですヨ!
旅先では体力も使いますし、お酒もついつい進んじゃいます。タロクッパは、貧血防止、滋養強壮、そして酔い覚ましにも最適です! 大邱の朝はぜひタロクッパでスタートしてみてください。
関連する記事はこちら
仁川 元祖グルメ 新浦洞へ行こう!
元祖グルメ 新浦洞へ行こう! シコシコした麺での食欲をそそるチョルミョン! チョルミョンが仁川で誕生したということをご存知でしたか。 仁川は1920年代から中国人村の中華料理と共に冷麺が有名であった。 沓洞聖堂の隣に「寺町屋(サジョンオク)」という冷麺の店は自転車の出前で有名だっ…続きを読む
Yuckyの大邱10味紀行 ② チムカルビ
Yuckyの大邱10味紀行 ② チムカルビ 大邱の代表的なお料理といえば、何といってもチムカルビ、大邱10味の代表格です。 チムカルビのチム(찜)とは「蒸す」の意味で、牛のカルビを柔らかく蒸して味付けしたお料理です。似たような名前で「カルビチム」がありますが、これはナツメや…続きを読む
Yuckyの大邱10味紀行 ③ ぺたんこ餃子
Yuckyの大邱10味紀行 ③ ぺたんこ餃子 今回ご紹介するのは「ぺたんこ餃子(ナプチャッマンドゥ/납작만두)」、大邱の有名な名物の一つです。餃子の皮に、春雨とニラ、ネギ等の野菜を挟んで二つ折り(半月型)にしたもので、その名の通り平べったい餃子です。 一度蒸してから焼いてある…続きを読む
Yuckyの大邱10味紀行 ⑦ ノンメギメウンタン
今回ご紹介するのは、ノンメギメウンタンです。ノンは田んぼ、メギはナマズ、メウンタンは辛いスープのことで、「田ナマズのピリ辛鍋」といったところでしょうか。自然豊かな大邱ならではのグルメの一つです。 さて、このナマズ鍋、大邱10味に選ばれてはいるのですが、大邱に住む私の友人(20~4…続きを読む
Yuckyの大邱10味紀行 ⑩ ふぐプルコギ
大邱10味、いよいよ最後の一品になりました。トリを飾るのは、ふぐプルコギです。 海に面していない大邱で、どうしてふぐが大邱10味に選ばれたのか? 不思議な気もしますが、以前ご紹介したムチムフェ(辛い刺身の和え物)と同様、海がないからこそ、食べ方に工夫を凝らしたお料理といえるかも…続きを読む
若者が集うにぎやかな町 弘大(ホンデ) ベスト8
地下鉄2号線弘大入口(ホンデイック)の駅を出るとそこにはにぎやかな弘大の町が広がります。洋服店、アクセサリー店、ネイルアート店などがひしめき、明洞とはまた違った活気を持つ弘大の町。とにかく飲食店がいっぱいなのでおいしい店もたくさんあります。またアートの町でもあり、学生が制作したか…続きを読む
Yuckyのうまうま大邱! ⑭ 大邱式ユッケジャンの名店イェッチブシクタン
大邱で食べていただきたいものの一つにユッケジャンがあります。ユッケジャンとは牛肉と野菜を煮込んだ辛いスープのことで、韓国ではとてもポピュラーなお料理です。ところで「なぜ大邱でユッケジャン?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。実はユッケジャンのルーツは大邱と深い関係があり、大邱…続きを読む
Yuckyのうまうま大邱! ② 大邱の麻薬パン
大邱のうまうま、今回は大邱で爆発的な人気のパンをご紹介したいと思います。 韓国には三大ベーカリーと呼ばれるパン屋さんがあります。群山の「李盛堂」、大田の「聖心堂」、そして3番手といわれているのが、安東の「マンモスベーカリー」と大邱の「サムソンパン屋」です。 サムソンパン屋の創業は…続きを読む